去年、彼は籍を入れて所帯を持っていたが、相変わらずの童顔でうかがってくる表情は到底三十代には見えない。アルバイトやパートの男女にも人気がある要因には、気さくな性格と、警戒心を抱かせない容姿のためでもあるだろう。
「ああ、今日のことを考えると胃がきりきりと痛んでね……」
「あははは、大丈夫ですって。今日は各部署に古株のパートだって置いていますし、大きな特売日でもないし。きっとお客もそんなに来ないでしょう。それに、彼も年明けに来てからもう半年もいるんです、お留守番くらいは、できますって」
「そうだろうか……」
「ええ、そうですよ。店長は、心配しすぎです」
ワタベ副店長は笑った。嫌味のない、さらりとした笑みだ。
「まあ確かにな」
店長は自信を持とうとしたが、かれに応えるべく浮かべた表情は、なんとも乾いた笑みだった。
午前十時から十一時までの間は、お客様の姿だって少ない。
問題はないだろう。そう、開店作業を進めながら二人はもう一度確認し合った。
「ああ、今日のことを考えると胃がきりきりと痛んでね……」
「あははは、大丈夫ですって。今日は各部署に古株のパートだって置いていますし、大きな特売日でもないし。きっとお客もそんなに来ないでしょう。それに、彼も年明けに来てからもう半年もいるんです、お留守番くらいは、できますって」
「そうだろうか……」
「ええ、そうですよ。店長は、心配しすぎです」
ワタベ副店長は笑った。嫌味のない、さらりとした笑みだ。
「まあ確かにな」
店長は自信を持とうとしたが、かれに応えるべく浮かべた表情は、なんとも乾いた笑みだった。
午前十時から十一時までの間は、お客様の姿だって少ない。
問題はないだろう。そう、開店作業を進めながら二人はもう一度確認し合った。


