都会方面へ仕事を探しに行く若者が多いため、アルバイト生はころころと顔触れが変わる。当時、店長と同期だった社員たちも、買収した大手企業の本部へと年々と引き上げられていったが、店長は『この地元に貢献し、店を見守り続けたい』と丁寧に断り、マシロスーパーの店長となったのだ。

 アルバイトの一部以外は、全体的に年齢層も高い。
 ――という中で、マシロスーパーには現在、最年少の三十一歳の新米正社員がいる。

 今年、本部採用だった新人が、マシロスーパーへと回されてきたのだ。

 だが、この新人が一癖あった。

 平日の、何もイベントがない日に外出の予定を入れていた店長は、その日の夜明け前、いつもの時間に店の鍵を開けながら、憂鬱な面持ちだった。

 店に入ってあとも、ときどき胃のあたりを押さえ「ぐう」と呻る。

 そんな店長の声が、静まり返った店内に響き渡った。

「店長、大丈夫っすか?」

 六年も一緒に過ごしてきた三十代のワタベ副店長が、眉を顰める。