商店街で一番の面積を誇るお店でもあった。
 生活雑貨や衣料も取り扱い、品揃えは価格と共に地元のお客様第一にと考えられている。

 以前『真城食品館』であった時代に店員だった店長は、店を丸ごと大手業者に買収された際も残った。

 当時、彼の年齢は三十五歳だった。

 元オーナーと幹部社員らは、資金不足と赤字といった理由もあって『真城食品館』から手を引く際、まだ若い彼に「頑張れ」と言った。

 若さ、経験、技術があった彼は「任せてください」と熱い気持ちで答えた。そして「店長」となったのだ――。

 あれから、十二年が過ぎようとしている。

 彼は急な豪雨で戸惑う部下や従業員たちを迷いなく引っ張れる男で、信頼は厚く、そして自身も店への愛から素晴らしいくらいに動いた。

 すべての業務のうち、一つでも彼に勝てるような部下はいなかった。忙しい部署に加勢に入りてきぱきと問題を解消し、業務を進行させる。そんな〝店長〟を、店に従事する誰もが憧れの眼差しで見つめていた。

 もちろん、それは店の常連客もそうである。