タケダは早口に捲し立てると、約三十分にも及ぶ愚痴ののち、ようやく本題のシーツのクレームへと移った。
「煙草で前のシーツをだめにしちまって妻に叱られたのは俺も悪い、ふらふらっと立ち寄ったらあのシーツが目についてね――おたくさ、マットとかシーツとか、もっと取り揃えないわけ? 前見た時にあった安いものがなくなっていて、花柄の、ちょっとお高めのしかなかったんだよ。まあ肌触りもいいし、これなら妻も気に入ってくれると思って買ったんだがね。とんだお門違いだったよ。急な出費だ、と怒られるし、パチンコじゃなくて働き口探しに行けって朝から大喧嘩さ」
「定年退職?」
「なわけねえだろ! 俺はまだ五十三だよ」
反論したタケダは、即座に語尾を弱めた。
「限界は知ってる。俺なんてちっぽけさ。下からどんどん有望な奴が出てくるし――なあ、知ってるか、兄さん。今の若い奴らはさ、英語だとかドイツ語だとかぺらぺらと話せて、そのうえ、堅苦しい資格までいろいろ持ってんだぜ。敵わねえよ。ほんと、嫌になるさ」
「煙草で前のシーツをだめにしちまって妻に叱られたのは俺も悪い、ふらふらっと立ち寄ったらあのシーツが目についてね――おたくさ、マットとかシーツとか、もっと取り揃えないわけ? 前見た時にあった安いものがなくなっていて、花柄の、ちょっとお高めのしかなかったんだよ。まあ肌触りもいいし、これなら妻も気に入ってくれると思って買ったんだがね。とんだお門違いだったよ。急な出費だ、と怒られるし、パチンコじゃなくて働き口探しに行けって朝から大喧嘩さ」
「定年退職?」
「なわけねえだろ! 俺はまだ五十三だよ」
反論したタケダは、即座に語尾を弱めた。
「限界は知ってる。俺なんてちっぽけさ。下からどんどん有望な奴が出てくるし――なあ、知ってるか、兄さん。今の若い奴らはさ、英語だとかドイツ語だとかぺらぺらと話せて、そのうえ、堅苦しい資格までいろいろ持ってんだぜ。敵わねえよ。ほんと、嫌になるさ」


