「まさかあ」
「そのまさかなんです。セールでもなかったのに、仕方なく高い金額で購入して、そのうえ今日の朝から機嫌が悪くて胸糞悪いそうで。どうしてくれるって、彼は言っているんです」
マナミちゃんはほとほと困り果てた表情をしていたが、あまりにも可愛らしかったので、テルヒコはまたにんまりと笑ってしまった。
「僕に任せて」
テルヒコはマナミちゃんを帰したあと、向かう自分を睨みつけてきた少し年上の中年クレーマーを眺め、これからどうするべきか考えた。
話を聞くために事務室に場所を移したほうがいいのかどうかを思い浮かべたが、営業機密のなんとやらの禁止という事項を思い出した。そういえばあそこには、店の数字などが雑多に公開されているのだと気付く。
「危ない危ない、もう少しで店長に怒られちゃうところだった」
テルヒコは一人で言って、一人で笑った。
店長は、とても仕事の出来るかっこいい中年だ。怒っている姿を見かけるほうが多いが、悪意があるわけではなく真心がある。父親のようでテルヒコは好きだったし、出来る男だなぁと憧れていた。
「そのまさかなんです。セールでもなかったのに、仕方なく高い金額で購入して、そのうえ今日の朝から機嫌が悪くて胸糞悪いそうで。どうしてくれるって、彼は言っているんです」
マナミちゃんはほとほと困り果てた表情をしていたが、あまりにも可愛らしかったので、テルヒコはまたにんまりと笑ってしまった。
「僕に任せて」
テルヒコはマナミちゃんを帰したあと、向かう自分を睨みつけてきた少し年上の中年クレーマーを眺め、これからどうするべきか考えた。
話を聞くために事務室に場所を移したほうがいいのかどうかを思い浮かべたが、営業機密のなんとやらの禁止という事項を思い出した。そういえばあそこには、店の数字などが雑多に公開されているのだと気付く。
「危ない危ない、もう少しで店長に怒られちゃうところだった」
テルヒコは一人で言って、一人で笑った。
店長は、とても仕事の出来るかっこいい中年だ。怒っている姿を見かけるほうが多いが、悪意があるわけではなく真心がある。父親のようでテルヒコは好きだったし、出来る男だなぁと憧れていた。


