その店長は、店内の中央に立ち尽くしていた。

 開かれた入口からは、外の熱風が勢いよく吹き込んできている。

(たった小一時間の間に、何があったんだ……)

 しかしながら、彼は同時にこの現場を見た際に〝あの奴による、いつもの珍事件〟であると、厄介な部下を思い出してもいた。

 店長の白髪交じりの髪がかかった額とこめかみに、一つ、二つと、徐々に青筋が立っていく。

 彼はすぐに、例の新人社員を見つけてもいた。

 店長の様子と対照的に、例の彼は、あっけからんとした表情だ。
 立派にやりとげましたよと言わんばかりに胸を張って応えた様子が、店長のこめかみに青筋を立てさせた原因でもある。

 彼は意気揚々と店長のもとに駆け寄ると、話し出した。

 彼の報告に聞き入るのは店長と、副店長。そして一人の社員と、彼らを少し遠巻きに眺めているパートやアルバイト、そして地元の一般客たちだった。


 商店街の一角にあるマシロスーパーは、地元住民に愛される食品店である。