◇
蒼に似すぎてるわ、園田って人。
入学式。クラスも違う何の接点もなかった女子を見て、俺はそう思った。
それが俺が最初に見た、園田結楽だった。
交通事故で死んだ俺の彼女にそっくりで、生まれ変わりか何かなのかと、馬鹿みたいな考えが浮かぶほどだった。
そして、新入生代表挨拶をした男子は、俺とクラスが一緒になった、山端紡。
めっちゃ頭良さそうだし、運動神経も良さそう。
そんな完璧人間と同じクラスになってしまい、俺なんかに勝ち目はないと、競っているわけでもないがそう思わざるを得なかったやつだ。
しかし、俺はなんなら仲良くなってやろうと勝手に思い、話しかけ、気づけばまあまあ話すくらいの仲になっていた。
仲良くなると、さすがの山端にも弱点があることを知る。
山端は、園田に過保護すぎるのだ。
両者欠点がないように見えるが、園田は努力家すぎるし、山端はそれに構いすぎている。
過保護といっても、心配性のようなものとはまた少し違って、山端は園田のお父さんやらお兄ちゃんやらに見えた。
なんなんだ、こいつら。
そこで、俺はこんな考えが思い浮かぶ。
こいつら、付き合っているのでは?
「山端。お前、園田さんと付き合ってんの?」
早速そう質問すると、山端は、
「急にどうしたの?そんなわけないじゃん」
と、王子様のように紳士な笑いをこぼした。
「だって山端、めっちゃ園田さんのこと気にしてんじゃん。なんでそんな気にしてんの?」
さらに俺がそう言うと、山端は、まぁね、と言っただけだった。
しかし、あいつは一年生の最後、園田についてこう語っていた。
「羽勇は、僕と結楽が恋人に見えるって言ったことがあったね」
突然そう話してきたものだから、何が何だかわからなくて、奇妙だった。
「僕がそう見えるほど結楽と仲がいいのは、一つの理由として、あの子は仲のいい『友達』が僕しかいないからなんだ」
そこで、俺はようやく、園田がこれまで、どれだけ熱心に山端と戦ってきたかが少しわかった気がした。
「女子の友達がいないの、あの子。結楽は色んな人と仲良くしてるよ?でも、なんかずっと心配でさ」
困ったなぁ、というような軽い戸惑いフェイスを表面にしながらも、山端の思いは染み出てきていた。
「僕がいなくなったらどうなるのかわからないから、僕以外でも仲のいい人を見つけてほしい。それでも僕が、離れてあげられないんだよね」
わかる。わかるよ、山端。
そのときの俺はそんなことさえも言えず、ただ黙って話を聞くことしかできなかった。
けれど。
「仮にね?もし僕がいなくなったら、羽勇、結楽と仲良くしてやって。僕と気が合うんだから、結楽とも気が合うよ」
その約束は、守ってるよ。
蒼に似すぎてるわ、園田って人。
入学式。クラスも違う何の接点もなかった女子を見て、俺はそう思った。
それが俺が最初に見た、園田結楽だった。
交通事故で死んだ俺の彼女にそっくりで、生まれ変わりか何かなのかと、馬鹿みたいな考えが浮かぶほどだった。
そして、新入生代表挨拶をした男子は、俺とクラスが一緒になった、山端紡。
めっちゃ頭良さそうだし、運動神経も良さそう。
そんな完璧人間と同じクラスになってしまい、俺なんかに勝ち目はないと、競っているわけでもないがそう思わざるを得なかったやつだ。
しかし、俺はなんなら仲良くなってやろうと勝手に思い、話しかけ、気づけばまあまあ話すくらいの仲になっていた。
仲良くなると、さすがの山端にも弱点があることを知る。
山端は、園田に過保護すぎるのだ。
両者欠点がないように見えるが、園田は努力家すぎるし、山端はそれに構いすぎている。
過保護といっても、心配性のようなものとはまた少し違って、山端は園田のお父さんやらお兄ちゃんやらに見えた。
なんなんだ、こいつら。
そこで、俺はこんな考えが思い浮かぶ。
こいつら、付き合っているのでは?
「山端。お前、園田さんと付き合ってんの?」
早速そう質問すると、山端は、
「急にどうしたの?そんなわけないじゃん」
と、王子様のように紳士な笑いをこぼした。
「だって山端、めっちゃ園田さんのこと気にしてんじゃん。なんでそんな気にしてんの?」
さらに俺がそう言うと、山端は、まぁね、と言っただけだった。
しかし、あいつは一年生の最後、園田についてこう語っていた。
「羽勇は、僕と結楽が恋人に見えるって言ったことがあったね」
突然そう話してきたものだから、何が何だかわからなくて、奇妙だった。
「僕がそう見えるほど結楽と仲がいいのは、一つの理由として、あの子は仲のいい『友達』が僕しかいないからなんだ」
そこで、俺はようやく、園田がこれまで、どれだけ熱心に山端と戦ってきたかが少しわかった気がした。
「女子の友達がいないの、あの子。結楽は色んな人と仲良くしてるよ?でも、なんかずっと心配でさ」
困ったなぁ、というような軽い戸惑いフェイスを表面にしながらも、山端の思いは染み出てきていた。
「僕がいなくなったらどうなるのかわからないから、僕以外でも仲のいい人を見つけてほしい。それでも僕が、離れてあげられないんだよね」
わかる。わかるよ、山端。
そのときの俺はそんなことさえも言えず、ただ黙って話を聞くことしかできなかった。
けれど。
「仮にね?もし僕がいなくなったら、羽勇、結楽と仲良くしてやって。僕と気が合うんだから、結楽とも気が合うよ」
その約束は、守ってるよ。



