「期末試験があるから簡単になっちゃうんだけど、誕生日パーティーのやり直しをさせてほしい」
俺は図々しくも涼臣に頼み込んだ。
楽しみにしてくれてたのに、俺のせいで過ぎてしまった事に責任を感じてしまっていた。
「俺はいいけど、大変じゃない?」
「ケーキを作ればできるから、明日しよう」
勢い任せで、明日と言ったがどうだろうか。
涼臣を見つめて予定の確認をすると、行けるようだった。早速、美咲に連絡を取らないと。
「明日、今度こそ楽しみにしてる」
涼臣は上機嫌でカップケーキの残りを食べる。
(安心しろ、今度こそ最高の誕生日を送らせてやる)
俺は美咲に連絡を入れて、明日のことを話した。
「あのね、急なのよ。ケンカしてるから隠してほしいって言ってきたのに、いつの間にか仲直りしてるし」
「まぁ、いいんじゃない? やっぱり莉子ちゃんの効果かな?」
「そうじゃないけど、気づかしてくれたかな」
教室の飾りつけに佐柳も手伝ってくれている。身長が高い佐柳には、上の方の飾りつけを担当してもらっている。
ケーキもろうそくを立てて終わりのところまできた。
作った中でも一番凝っていると俺自身も思っている。
今回作ったケーキはいちごがたくさん乗っているショートケーキのホール。
ずっと飾りつけや用意やらで動きっぱなしで、お腹が空いてくる。
(あー、美味しそう。食べたい。......うわぁ、ダメだ。これは涼臣の)
自制心との戦いで、これ以上意識的な戦いはしたくない。
「うまそー、これ食べたい」
「ダメだって、明日食べれるから」
指で刺そうとしてる佐柳に注意して目の前から取り上げ、家庭科室の冷蔵庫に保管した。
帰るころには飾りつけも完成していて万全の状態になっていた。
「急だったのにごめんね、ありがとう美咲」
「いいのよ。元々初めから手伝ってたんだし、気にしなくて」
逆に頼ってくれなかったら絶交してた、と頼ったことへのお褒めが多くて俺が困る。そんなにすごいことしてないのに。
「佐柳もありがとう」
「こっちこそ、2人が仲直りできたんなら手伝うに決まってんでしょ」
佐柳は涼臣のためなら何でもしそう。俺と似てるのか、もしかしてライバル!?
思わぬ佐柳という人物の情報から、俺の恋敵かと警戒するがそれはすぐになくなることとなる。
翌日、学校が終わり涼臣を飾りつけした空き教室に案内した。
「涼臣、先に入って」
「俺から入るんだ、じゃあ行くよ」
ガラガラと音を立てて扉を開けると、学生らしい誕生日パーティーの会場になっている。
「「「誕生日、おめでとう!!!」」」
3人でクラッカーを鳴らしながらお祝いの言葉を言う。これが、俺のしたかったお祝いの一つ。
「ありがとう。こうやって祝われるの新鮮で、どんな反応をするのが正解か......」
戸惑っている涼臣をずっと見ていたいが、これからが本番だ。
「涼臣、ちょっと待っててね」
俺はすぐに家庭科室の 冷蔵庫から昨日作ったケーキを持ってくる。
教室の電気が消され、ケーキに乗せたロウソクに火が点いていく。
「綺麗だ......」
俺たち3人は誕生日の歌を歌った。綺麗にハーモニーを奏でるはずが、俺の少し音痴なせいで、少しガタついてしまった。
「ほら、ロウソク消せよ」
佐柳に言われた通りにフゥーと息を吹きかけ、すべてのロウソクを消す。
教室の電気がつき、ケーキを切ってそれぞれに取り分けた。
「知ってるだろうけど、このケーキ穂積が作ったやつだからね」
美咲が念のためにと言って話してくれるが、若干タブーになりつつある話題だから出さないでほしい。
「いただきます」
涼臣がフォークで一口分取って口に入れる。
(美味しくできてると思うけど、口に合うか......)
「美味しい! 俺が食べてきた中で一番美味しいよ。明良、ありがとう」
そんなに喜んでくれるとは、思ってなかった。この時、初めて作ってよかったと思えた。
俺も美咲も、佐柳もケーキを食べる。
思ったより上手くできていて自分でも美味しいと感じることができた。
ケーキがいつの間にか無くなって、そろそろお開きとなった。
片付けも俺たちがやると言ったが、涼臣は「みんなでやれば早いでしょ」と言って手伝ってくれる羽目に。
片付けは一瞬で、元に戻った教室に寂しさを覚える。でも、一生懸命やったことや喜んでもらったことは忘れることはなさそうだ。
帰りにゴミを出しに行く俺と、涼臣と鍵を返しに行く美咲と佐柳で別れた。
「今日は本当にありがとう。今までの誕生日の中で、一番嬉しかった」
「俺も、喜んでもらえて嬉しかった。来年は、ちゃんと当日にお祝いするから開けといてね」
俺は来年の誕生日の予約をする。おばあさんに負けじと俺も誕生日をもぎ取ってやる。
謎の対抗心が現れ、一人メラメラと燃えていた。
「その前に明良の誕生日でしょ? 今度は俺が考えるから、楽しみにしてて」
今後の楽しみが増え、これからに花が咲いたようだった。
俺は図々しくも涼臣に頼み込んだ。
楽しみにしてくれてたのに、俺のせいで過ぎてしまった事に責任を感じてしまっていた。
「俺はいいけど、大変じゃない?」
「ケーキを作ればできるから、明日しよう」
勢い任せで、明日と言ったがどうだろうか。
涼臣を見つめて予定の確認をすると、行けるようだった。早速、美咲に連絡を取らないと。
「明日、今度こそ楽しみにしてる」
涼臣は上機嫌でカップケーキの残りを食べる。
(安心しろ、今度こそ最高の誕生日を送らせてやる)
俺は美咲に連絡を入れて、明日のことを話した。
「あのね、急なのよ。ケンカしてるから隠してほしいって言ってきたのに、いつの間にか仲直りしてるし」
「まぁ、いいんじゃない? やっぱり莉子ちゃんの効果かな?」
「そうじゃないけど、気づかしてくれたかな」
教室の飾りつけに佐柳も手伝ってくれている。身長が高い佐柳には、上の方の飾りつけを担当してもらっている。
ケーキもろうそくを立てて終わりのところまできた。
作った中でも一番凝っていると俺自身も思っている。
今回作ったケーキはいちごがたくさん乗っているショートケーキのホール。
ずっと飾りつけや用意やらで動きっぱなしで、お腹が空いてくる。
(あー、美味しそう。食べたい。......うわぁ、ダメだ。これは涼臣の)
自制心との戦いで、これ以上意識的な戦いはしたくない。
「うまそー、これ食べたい」
「ダメだって、明日食べれるから」
指で刺そうとしてる佐柳に注意して目の前から取り上げ、家庭科室の冷蔵庫に保管した。
帰るころには飾りつけも完成していて万全の状態になっていた。
「急だったのにごめんね、ありがとう美咲」
「いいのよ。元々初めから手伝ってたんだし、気にしなくて」
逆に頼ってくれなかったら絶交してた、と頼ったことへのお褒めが多くて俺が困る。そんなにすごいことしてないのに。
「佐柳もありがとう」
「こっちこそ、2人が仲直りできたんなら手伝うに決まってんでしょ」
佐柳は涼臣のためなら何でもしそう。俺と似てるのか、もしかしてライバル!?
思わぬ佐柳という人物の情報から、俺の恋敵かと警戒するがそれはすぐになくなることとなる。
翌日、学校が終わり涼臣を飾りつけした空き教室に案内した。
「涼臣、先に入って」
「俺から入るんだ、じゃあ行くよ」
ガラガラと音を立てて扉を開けると、学生らしい誕生日パーティーの会場になっている。
「「「誕生日、おめでとう!!!」」」
3人でクラッカーを鳴らしながらお祝いの言葉を言う。これが、俺のしたかったお祝いの一つ。
「ありがとう。こうやって祝われるの新鮮で、どんな反応をするのが正解か......」
戸惑っている涼臣をずっと見ていたいが、これからが本番だ。
「涼臣、ちょっと待っててね」
俺はすぐに家庭科室の 冷蔵庫から昨日作ったケーキを持ってくる。
教室の電気が消され、ケーキに乗せたロウソクに火が点いていく。
「綺麗だ......」
俺たち3人は誕生日の歌を歌った。綺麗にハーモニーを奏でるはずが、俺の少し音痴なせいで、少しガタついてしまった。
「ほら、ロウソク消せよ」
佐柳に言われた通りにフゥーと息を吹きかけ、すべてのロウソクを消す。
教室の電気がつき、ケーキを切ってそれぞれに取り分けた。
「知ってるだろうけど、このケーキ穂積が作ったやつだからね」
美咲が念のためにと言って話してくれるが、若干タブーになりつつある話題だから出さないでほしい。
「いただきます」
涼臣がフォークで一口分取って口に入れる。
(美味しくできてると思うけど、口に合うか......)
「美味しい! 俺が食べてきた中で一番美味しいよ。明良、ありがとう」
そんなに喜んでくれるとは、思ってなかった。この時、初めて作ってよかったと思えた。
俺も美咲も、佐柳もケーキを食べる。
思ったより上手くできていて自分でも美味しいと感じることができた。
ケーキがいつの間にか無くなって、そろそろお開きとなった。
片付けも俺たちがやると言ったが、涼臣は「みんなでやれば早いでしょ」と言って手伝ってくれる羽目に。
片付けは一瞬で、元に戻った教室に寂しさを覚える。でも、一生懸命やったことや喜んでもらったことは忘れることはなさそうだ。
帰りにゴミを出しに行く俺と、涼臣と鍵を返しに行く美咲と佐柳で別れた。
「今日は本当にありがとう。今までの誕生日の中で、一番嬉しかった」
「俺も、喜んでもらえて嬉しかった。来年は、ちゃんと当日にお祝いするから開けといてね」
俺は来年の誕生日の予約をする。おばあさんに負けじと俺も誕生日をもぎ取ってやる。
謎の対抗心が現れ、一人メラメラと燃えていた。
「その前に明良の誕生日でしょ? 今度は俺が考えるから、楽しみにしてて」
今後の楽しみが増え、これからに花が咲いたようだった。

