その日は結局、明良に会うことはできなかった。
メールを打っても【大丈夫、気にしないで】とだけ返されてしまう。
(本当に大丈夫? 俺も手伝うよって言えたらいいのに、避けられてたら何も言えないよ)
だんだん気持ちに余裕がなくなりはじめ、大人しく帰路に着いた。
部屋に帰っても一人でいる寂しい部屋。考えることをやめて風呂に直行し、上がってすぐベッドに身を任せた。
目を閉じていると一人でいる現実を見ないで済んだ。
このまま夢の中に入れたら......。そんなメルヘンチックなことを考えていると、鞄に入れてあったスマホから電話のバイブ音が鳴る。
鳴り続けるスマホをサッと取りだし電話に出て、再び寝転んだ。
「......もしもし」
『あ、涼くん出た! 珍しいね一回で出るなんて』
「何もないなら切る」
要件がないなら、さっきの現実逃避の続きをさせてくれと思った。
『あるある! おばあ様にちゃんと伝えたんだけど、やっぱり来なさいって。今度そっちに行くとか言ってたから言っておこうと思って』
「そうなんだ、でも俺、今はそれどころじゃないから相手できないよ」
(だって、誕生日パーティーをしてくれると言った明良が俺を避けるから)
明良が俺のために動いてくれていることを知っているから、何としてでも一緒に過ごしたいと思っている。
なのに、明良がどうして俺を避けるのかが分からなかった。
『そういえば、最近涼くんの隣にいる穂積先輩見ないね。ケンカでもした?』
鋭く突いてくる莉子の言葉が胸に刺さる。今は地雷だというのに。
「ケンカしてない。なぜか明良が避けてきてるんだ」
『本当に何もしてないの? 例えば約束破ったりとか。何か避けられるきっかけでもあったんじゃない? 涼ちゃんってしっかりしているように見えて、たまに抜けてるところあるからね~』
長年一緒にいる莉子は、自分のことのように俺について語っている。なんの否定もできないくらい俺も同じくそう思っていたからだ。
それにしてもどうして避けられることになったのか、本当にわからない。
『避けられる前に話した会話って何だったの?』
「話......。あ、もうすぐ俺の誕生日だからパーティを開こうって楽しそうに話してて、そのあとに兄弟の体調不良で休んでて......」
(そうだ、誕生日。あれから離してないけど、準備張り切ってくれてたよな。藤梨にでも聞いておけばよかったか?)
小さな後悔がなり、言葉がでなくなっていく。
『今日はここまでにしよ。また会いに行くからね』
静かになっていった俺に莉子は気を遣って電話を切った。
(年下に気を遣わせるなんて......。情けない)
だが少し、莉子の声を聴けて良かったと思っている。一人でいるともっと気が落ちそうだったからだ。
俺は明良に【明日は会えそう?】と文字を打って送った。
返信が怖いと思ったのは初めてで、通知音が鳴っても見ることができそうになかった。
聞かなかったふりをしてベッドに一度は潜るが、気になって眠れず結局画面を開いた。
杞憂だったみたいで、明良からの返信はなくただ迷惑メールが来ただけだった。
「遅いしもう寝てるのかも」とつまんない言い訳をして、画面を暗くした。
メールを打っても【大丈夫、気にしないで】とだけ返されてしまう。
(本当に大丈夫? 俺も手伝うよって言えたらいいのに、避けられてたら何も言えないよ)
だんだん気持ちに余裕がなくなりはじめ、大人しく帰路に着いた。
部屋に帰っても一人でいる寂しい部屋。考えることをやめて風呂に直行し、上がってすぐベッドに身を任せた。
目を閉じていると一人でいる現実を見ないで済んだ。
このまま夢の中に入れたら......。そんなメルヘンチックなことを考えていると、鞄に入れてあったスマホから電話のバイブ音が鳴る。
鳴り続けるスマホをサッと取りだし電話に出て、再び寝転んだ。
「......もしもし」
『あ、涼くん出た! 珍しいね一回で出るなんて』
「何もないなら切る」
要件がないなら、さっきの現実逃避の続きをさせてくれと思った。
『あるある! おばあ様にちゃんと伝えたんだけど、やっぱり来なさいって。今度そっちに行くとか言ってたから言っておこうと思って』
「そうなんだ、でも俺、今はそれどころじゃないから相手できないよ」
(だって、誕生日パーティーをしてくれると言った明良が俺を避けるから)
明良が俺のために動いてくれていることを知っているから、何としてでも一緒に過ごしたいと思っている。
なのに、明良がどうして俺を避けるのかが分からなかった。
『そういえば、最近涼くんの隣にいる穂積先輩見ないね。ケンカでもした?』
鋭く突いてくる莉子の言葉が胸に刺さる。今は地雷だというのに。
「ケンカしてない。なぜか明良が避けてきてるんだ」
『本当に何もしてないの? 例えば約束破ったりとか。何か避けられるきっかけでもあったんじゃない? 涼ちゃんってしっかりしているように見えて、たまに抜けてるところあるからね~』
長年一緒にいる莉子は、自分のことのように俺について語っている。なんの否定もできないくらい俺も同じくそう思っていたからだ。
それにしてもどうして避けられることになったのか、本当にわからない。
『避けられる前に話した会話って何だったの?』
「話......。あ、もうすぐ俺の誕生日だからパーティを開こうって楽しそうに話してて、そのあとに兄弟の体調不良で休んでて......」
(そうだ、誕生日。あれから離してないけど、準備張り切ってくれてたよな。藤梨にでも聞いておけばよかったか?)
小さな後悔がなり、言葉がでなくなっていく。
『今日はここまでにしよ。また会いに行くからね』
静かになっていった俺に莉子は気を遣って電話を切った。
(年下に気を遣わせるなんて......。情けない)
だが少し、莉子の声を聴けて良かったと思っている。一人でいるともっと気が落ちそうだったからだ。
俺は明良に【明日は会えそう?】と文字を打って送った。
返信が怖いと思ったのは初めてで、通知音が鳴っても見ることができそうになかった。
聞かなかったふりをしてベッドに一度は潜るが、気になって眠れず結局画面を開いた。
杞憂だったみたいで、明良からの返信はなくただ迷惑メールが来ただけだった。
「遅いしもう寝てるのかも」とつまんない言い訳をして、画面を暗くした。

