彩花は、少しずつ自分が抱えていた痛みを許すことができるようになった。

過去の自分を否定することなく、ただそのままでいることが許されることに、心が少しだけ安らぐのを感じる。

璃人の優しさが、彩花の心の中に静かに浸透していき、彼女はやっと自分を受け入れられるようになっていた。

一度は心が折れかけた。過去の傷があまりにも深くて、もう立ち上がれないのではないかと思った時もあった。

しかし、璃人との絆を深めることで、彼女は再び自分を信じる力を取り戻すことができた。

彼の存在が、まるで夜空に輝く星のように、暗闇の中で自分を導いてくれるのを感じる。

「今、ありのままの僕で居たい」その思いが、胸の中で強く響いた。

もう恐れることはない。自分を大切にすること、それが一番大切だと、ようやく彩花は心から思えるようになった。

璃人がそっと彼女を抱きしめると、彼女の心は温かさで満たされていく。

初めて、心から「ありがとう」と言えた。

それは、彼に対する感謝の気持ちであり、自分を受け入れられるようになったことへの感謝でもあった。

彼女は、夜の闇から抜け出す準備を始めた。

もうすぐ、朝の光が彼女を包み込む時が来る。

これからは、恐れずに一歩を踏み出していける、そんな予感がした。