光は、千夜が歌えなくなった理由を知りたかった。

彼女が抱える秘密がどれほど深いものなのか、そして、どうすれば千夜の歌を取り戻せるのか、その答えを探し始めた。

千夜の歌が、ただのメロディーではないことは、彼もすでに感じていた。

その歌には、何か特別な力が宿っている—それが何なのかを探るために、光は歩みを進める決意を固めた。

ある日、光は千夜に問いかけた。

「千夜、君の歌は、ただの歌じゃないよね。何か、誰かとの約束が関わっているんだろう?」

千夜はしばらく黙っていたが、やがて静かに口を開いた。

「うん…私の歌には、過去の約束がある。私が歌い続けることで守られている命があるんだ。」

その言葉に、光の胸が締めつけられるようだった。

千夜が歌うことで、誰かの命が守られていたという事実に、光は驚き、そして深い切なさを感じた。

「でも…もし私が歌を止めてしまったら、その約束が破られて、その命も失われてしまう。」

千夜の声は、どこか諦めを含んでいた。

その命が、どれほど大切なものであるのか、彼女自身が一番理解しているのだろう。

その重さを背負いながら、千夜はただ歌い続けていた。

光は、もう一度決心を固めた。

「君が歌えないのなら、僕が歌うよ。君の歌を、君と一緒に歌うんだ。」

千夜は驚き、そして少し悲しそうに微笑んだ。

「でも…それでは、何も変わらない。」

「変わるさ。」光は断言した。

「君の歌を取り戻すためには、二人で歌い続けなければならないんだ。」

光のその言葉に、千夜は少しだけ勇気を取り戻したように見えた。

彼女は静かにうなずき、二人は再び歌い始めることを決意した。

それは、彼らの運命が交わる瞬間であり、どちらか一方が歌い続けることができなければ、

全てが失われてしまうという危機感を抱えながらの決断だった。

しかし、光は決して後戻りはしないと心に誓った。

千夜の歌が、彼の心を救い、そして彼女自身の命を救うために、二人は共に歌うことを選んだ。

その夜から、光と千夜は一緒に歌い続けた。

その歌は、少しずつ周囲の空気を変えていき、彼らの間に新たな絆を育んでいく。

だが、歌が奏でる未来にはまだ試練が待っていることを、二人はまだ知らない。