星と歌と、君の声

朝が来る。

桜井澪は、夜が明けていく空を静かに見つめていた。

その空は、今まで見てきたものと同じようで、どこか違って見える。

薄いピンク色に染まる空に、澪は心の中で微笑みを浮かべた。

「白瀬霧」と過ごした日々が、確かに自分を変えてくれた。

あの日々の中で感じた温もり、霧がくれた言葉、そして歌。

すべてが今の自分を作り上げている。

その温もりを胸に抱きながら、澪は新しい一歩を踏み出した。

まだ不安はある。道の先がどこに続いているのか分からないけれど、心の中で、少しずつ自信が芽生えてきた。

「きっとまた、二人笑える未来がある。」

その言葉を心の中で繰り返しながら、澪は空に向かって小さく息を吐いた。

霧がいなくても、もうひとりではない。

今、澪は自分の足で立ち、歩き出すことができると感じていた。

未来はまだ見えなくても、きっと、どこかでまた笑い合える日が来ることを信じて。