桜井澪は、ただ静かに夜の闇に身を任せていた。

心は重く、体はひどく冷たく、どこか遠くにある明日という言葉が、今の自分には全く届かないような気がしていた。

「辛くなって、分からなくなって、どんな明日だって関係ないから」

そう呟き、目を閉じると、まるでその言葉が暗闇の中で響き渡るような気がした。

誰もいない空間、誰もいない時間。

その中で、澪はひとり、静かに沈んでいった。

けれど、そんなときだった。

ふと、空を見上げると、ひときわ鮮やかに輝く星々の中から、一筋の歌声が降り注いだ。

その歌は、どこか遠い場所からやってきたようで、心の奥底に静かに触れてくるようだった。

澪はその音に耳を傾ける。

それは、まるで自分の孤独を知っているかのように、静かに、優しく包み込んでくれる。

寂しさを溶かすように、心の中に温かな光が差し込んでくる。

澪はその歌声に、初めて心が救われる気がした。

どこから来たのかも分からないその歌は、ただひとつ、澪に静かな慰めを与えてくれた。