「・・・お嬢」
気が付くと紅い眸が目の前にあった。遊佐の腕に抱かれて眠っていたようだ。
ゼリーの海の余韻はほとんど無い。ひなせは今日こそは遊佐に問い質そうと思った。やはり尋常じゃない、もしかしたら生死に関わるかも知れない。
瑠璃色の眼差しを躊躇いなく向けて、ひと息に不安を吐き出した。
「遊佐、ちゃんと言って。あたしに何か隠してない?」
「ん。してる」
あっさりと肯定した遊佐に少し目を見開き、ひなせは表情を曇らせた。無月に相談したのは、どうしても自分が無関係に思えなかったからだ。
ずっと彼らに甘えてきた。欲しいままに精気を与えてもらい、抑えの利かない欲情を満たしてもらい。それが遊佐に何らかの負荷を背負わせているのでは、と考えるのは当たり前だ。
初めて怖くなった。普通の人間相手なら最初から加減しているのに、無月達なら大丈夫だと思い込んでいた自分が。もしかしたら彼らですら殺してしまうかも知れない自分が。
言い知れない心細さに泣き崩れたひなせを、無月は抱き締めて言ったのだ。
『だとしても私も遊佐も支癸も、何も変わりはしないさ。ひなせには理解し辛いかも知れないが・・・、氷凪とお前の為なら命ぐらい、少しも惜しくはない。それが私達の誇りであり、永らえてきた意義だと思っている』
それが戦国乱世に生きた者達の矜持なのだと頭では解釈できても、感情では耐え難い。生きてずっと傍にいて欲しいだけなのに。
気が付くと紅い眸が目の前にあった。遊佐の腕に抱かれて眠っていたようだ。
ゼリーの海の余韻はほとんど無い。ひなせは今日こそは遊佐に問い質そうと思った。やはり尋常じゃない、もしかしたら生死に関わるかも知れない。
瑠璃色の眼差しを躊躇いなく向けて、ひと息に不安を吐き出した。
「遊佐、ちゃんと言って。あたしに何か隠してない?」
「ん。してる」
あっさりと肯定した遊佐に少し目を見開き、ひなせは表情を曇らせた。無月に相談したのは、どうしても自分が無関係に思えなかったからだ。
ずっと彼らに甘えてきた。欲しいままに精気を与えてもらい、抑えの利かない欲情を満たしてもらい。それが遊佐に何らかの負荷を背負わせているのでは、と考えるのは当たり前だ。
初めて怖くなった。普通の人間相手なら最初から加減しているのに、無月達なら大丈夫だと思い込んでいた自分が。もしかしたら彼らですら殺してしまうかも知れない自分が。
言い知れない心細さに泣き崩れたひなせを、無月は抱き締めて言ったのだ。
『だとしても私も遊佐も支癸も、何も変わりはしないさ。ひなせには理解し辛いかも知れないが・・・、氷凪とお前の為なら命ぐらい、少しも惜しくはない。それが私達の誇りであり、永らえてきた意義だと思っている』
それが戦国乱世に生きた者達の矜持なのだと頭では解釈できても、感情では耐え難い。生きてずっと傍にいて欲しいだけなのに。

