ある夜半のこと。離れの大広間に氷凪、無月、遊佐、支癸の4人が顔を揃えていた。ひなせは由伊と部屋に籠もりきりだ。あえて二人を外すタイミングを見計らったと言っても良い。

「・・・で?」

ジーンズ姿で胡座をかいた支癸が無月を見やった。

和装の氷凪以外、時代に合わせてきた三人は普通に今どきの日本人らしい恰好をしている。無月はVネックの春ニットにカラーパンツ、遊佐はもっとラフにパーカー付きのスェット上下だ。

「このメンツってことは・・・厄介な話か?」

支癸の目線を受けた無月が、表情ひとつ変えずに「そうだな」と前置きをした。

「・・・遊佐」

「ん-?」

「自分の異変に気付いているな?いつからだ」

唐突に矛先を向けられても当人は暢気な反応だ。その問いですら予測していたかの様に、仄かな笑いを滲ませている。

「異変・・・って何のハナシしてんだよ」

ひとり通じていない支癸が険しい表情で二人を見た。

昔からそうだ、いつも半歩遅れている。自分が知る時にはもう結果が出ていたりだとか、そんな事は真っ平ご免なのに。今もそんな後悔が立ちそうな予感がする。支癸はグッと奥歯を噛み締めた。

「ンな猛獣みたいな面、されてもねぇ」

遊佐は大仰に溜め息を吐く。そして何事でもないかのように支癸に肩を竦めて言った。

「どうやら寿命ってヤツらしいよ?まあ・・・500年も生きりゃ充分だケドね」