君と過ごす最後の夏

キスの後、しばらくは二人とも言葉を交わすことなく、ただ静かな夜の空気を楽しんでいた。
海鈴が少し顔をしかめるように空を見上げる。

「すごい星だな……」

その言葉に、私も空を見上げた。
空はすっかり暗くなり、星々がきらきらと輝いている。
それはまるで、私たちの気持ちが反映されたかのように、明るく輝いているように感じた。

「うん……きれいだね」

私が小さな声で答えると、海鈴はそっと私の手を取って、少しだけ力を入れて握った。
その温かさが、私の心に深く届いて、胸がじんわりと熱くなる。

「美華……今日、こんな風に過ごせて、すごく幸せだよ」

海鈴がゆっくりと私を見つめる。
その目が、私の全てを包み込むように優しくて、私はまた胸がいっぱいになる。

「私も……すごく幸せ」

その瞬間、何も言わずに海鈴がもう一度、私のほおを優しく撫でて、顔を近づけてきた。
再び唇が重なり、今度はもっと深く、もっと長くキスを交わす。
その瞬間、世界の全てが二人だけのものになるような、そんな気がした。

キスが終わると、海鈴は私の目を見つめて、少しだけためらうように口を開く。

「美華、俺、これからもずっと……君と一緒にいたい」

その言葉に、私は心から驚いたけれど、同時に嬉しさが込み上げてきた。

「私も……海鈴とずっと一緒にいたい」

心からの言葉を伝えると、海鈴はにっこりと笑って、私をそっと抱きしめてくれた。
その瞬間、私の中で何かが大きく変わったように感じた。
海鈴の腕の中で、全てが安心しているような、そんな感覚。

しばらくそのままでいて、夜空の下で二人だけの時間を過ごした。
そして、ようやく手を繋ぎながら歩き出す。
足音が静かに響く中、私たちの心はもうすっかり一つになっていた。

「美華、もし怖いことや不安なことがあったら、いつでも言ってくれ。俺は、君を守るから」

海鈴がそう言ったその言葉に、私は涙が込み上げてきた。
こんなにも優しい言葉をかけてくれる人がいることが、信じられないくらい嬉しい。

「ありがとう、海鈴……私、ずっと一緒にいるって決めたんだ」

その言葉に海鈴は笑顔を見せて、私を見つめながら歩き続けた。
空はすっかり暗く、夜の静けさが二人を包んでいく。

でも、その静けさの中に、確かな温もりと愛が満ちていることを、私は確信していた。