君と過ごす最後の夏

沈黙が流れる中、夕焼けの色がだんだんと深くなり、空の色が変わっていく。
海鈴はそっと立ち上がり、私の手を引いてくれた。

「そろそろ帰るか?」

その声に、私はうなずきながら立ち上がる。
でも、どこか名残惜しさがあって、少しだけ足を止めてしまう。
海鈴もそれに気づいたのか、優しく微笑んでくれた。

「美華、帰るの、嫌だった?」

その言葉に、私は少し驚いた。
正直、今の私は、帰りたくない。
まだ、もう少しだけ、このままでいたかった。

「ううん、嫌じゃないけど……」

言葉に詰まると、海鈴は軽く肩をすくめて笑った。
その笑顔が、私の胸をぎゅっと締め付ける。

「じゃあ、もう少しだけ一緒にいてもいい?」

海鈴の言葉に、私は心の中で歓びを感じながら、うなずいた。
少しの間、二人で並んで歩きながら、ただ沈黙が続いた。
でも、それが全く嫌じゃなくて、むしろ心地よくて、私たちは何も言わずに歩みを進めた。

そして、ふと公園の入り口が見えてきたとき、海鈴が突然立ち止まった。
その動きに合わせて、私も立ち止まる。
海鈴は少し息をついて、真剣な眼差しを私に向けてきた。

「美華……」

その一言に、私の胸が高鳴る。
海鈴は少し前に踏み出して、私とほんの少しだけ距離を縮める。

「……今日は、ありがとう」

その言葉が、まるで告白のように響いて、私は思わず胸の奥がじんわりと温かくなった。

「私こそ、ありがとう」

私は心からそう答えながら、海鈴の目を見つめた。
その瞬間、海鈴がふっと顔を近づけてきて、私は驚きながらも体が動かなくなった。
海鈴の呼吸が少し荒くなっているのが分かる。
そして、次の瞬間、海鈴の手が私の肩に触れ、やわらかく引き寄せられた。

「美華、いい?」

その言葉に、私は思わず頷いてしまった。
海鈴が私の顔をそっと包み込むようにして、唇を重ねる。
初めてのキス。
私の胸が高鳴り、目の前が少しぼやけるほど、心臓が激しく打ち始めた。
キスは優しく、でも強く、私たちの気持ちが確かに交わるような、そんな瞬間だった。

しばらくして、海鈴がゆっくりとキスを解いた。
その顔がとても近くて、私の心はまだその余韻に包まれていた。

「美華……」

海鈴は少し恥ずかしそうに笑って、少しだけ顔を赤くしていた。
私もおそらく、同じように顔が熱くなっているだろう。

「ありがとう、今日は特別な日になったよ」

その言葉が、私の心をさらに温かくして、胸の奥から幸せが溢れそうだった。

「私も、海鈴と一緒にいられて嬉しい……」

その言葉が、今、私の一番の気持ちだった。

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どうでしょうか?初デートでの二人の気持ちが少しずつ溶け合っていく様子を描いてみました!