君と過ごす最後の夏

沈黙の中、ただただ海鈴の横顔を見つめる。
それが心地よいのか、それとも少しだけ切ないのか、私にはよく分からなかった。

「美華、もしよかったらさ、これからもこうして一緒にいられたら嬉しいんだ」

海鈴がふと、顔を向けて言った。
その目が、どこか真剣で、でも優しさをたっぷりと含んでいて、私は思わず息を飲んだ。

「もちろん……私も、海鈴と一緒にいたい」

言葉にした瞬間、自分の気持ちがはっきりと分かる。
心の中で溢れるように広がる温かさが、どこか胸を締め付けるけれど、同時に安心させてくれる。

海鈴は静かに頷いて、ふと目を閉じる。
その仕草に、私は少しドキリとしてしまう。

「美華、ありがとう」

「え?」

「俺、こんなふうに素直になれるのって、すごく久しぶりなんだ」

海鈴は、今度は少し照れくさそうに笑う。その笑顔に、また胸がドキドキして、言葉を続けることができなかった。

「でも、こんなふうに一緒にいてくれる美華には、すごく感謝してる」

その言葉は、私の心に深く届いて、少しだけ涙がこぼれそうになる。
でも、必死にそれをこらえて、ただ頷くしかなかった。

その時、海鈴がふと空を見上げる。

「見て、あの雲……」

私も視線を上げると、空はすでに夕焼けを越えて、深い青に包まれていた。
雲は、まるで染めた絵具が空を彩ったかのように、色とりどりに広がっている。

「きれい……」

「うん、すごくきれいだよな」

海鈴が小さく微笑む。その笑顔が、私の中でずっと残って、温かく心を満たしていく。

「美華、これからも、こうして一緒にいられるといいな」

その言葉が、私の胸の中で大きく響く。

そして、私はやっと口を開いた。

「私も、そう思ってる」

夕空に染まる海鈴の笑顔を、私はじっと見つめながら、心からそう感じていた。

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こんな感じで、二人の気持ちが少しずつ近づいていく様子を描いてみました!気に入っていただけると嬉しいです。