「よし、準備終わったな!」

クラスの皆が帰った後、颯真と二人で最後の飾りつけをしていた。

「意外と器用だよね、颯真」

「俺、手先は器用なんだぜ?知らなかった?」

「知らなかった……」

「美琴のことも、もっと知りたいけどな」

「……え?」

不意に、彼が私の目をじっと見つめた。

「最近、気づいたんだよ。お前がいないと、俺、ちょっとつまんねぇなって」

「……」

「だからさ、ちゃんと伝えとこうと思って」

ゆっくりと、彼の手が伸びる。

「桜井、俺、お前のこと——」

「——ごめん!」

私は、咄嗟に彼の言葉を遮った。

「ごめん……今、答えられない」

「……そっか」

彼は少し寂しそうに笑った。

「でも、逃げないでよ。俺、待ってるから」

その言葉に、心臓が痛くなるほど高鳴る。

今まで勉強しか知らなかった私が、初めて恋に触れた瞬間だった。

——私たちの交差点は、まだ続いていく。