大学4年生になり、卒業が近づいてきた。

「卒業後、どうする?」

ある日、颯真がふいに聞いてきた。

「私は就職するよ。でも、颯真は?」

「……俺は、店を出すつもりだ。」

「店?」

「飲食の専門学校行ってたし、ずっと自分の店を持ちたかったんだ。」

「すごい……!」

「でも、まだ資金も足りないし、しばらくは修行するつもりだけどな。」

「そっか……。」

お互いの未来を考えると、少しだけ不安になる。

「……遠距離とかになっちゃうのかな?」

「そんなこと、考えなくていい。」

颯真は、真っ直ぐ私を見つめた。

「俺は、どこにいたって、お前のことを想ってるから。」

「……私も。」

桜が舞う卒業式の日、私は彼の手を握った。

「これからも、一緒に歩いてくれる?」

「当たり前だろ。」

春の風が、新しい未来への扉を開いていく。

—— この先に、どんな物語が待っているのかは、私たち次第だ。