夏休み、颯真と二人で旅行に行くことになった。

「彼氏と旅行とか、大丈夫なの?」

友達にそう聞かれて、私は改めて考え込んだ。

「……別に、何もないよ。」

「ふーん?」

「ほんとに!」

「じゃあ、向こうでドキドキするようなことあったら報告ね!」

友達にからかわれながらも、私は少しだけ緊張していた。

行き先は海の見える町。観光スポットを巡り、おいしいものを食べ、ゆっくり過ごす予定だった。

「お前、水着持ってきた?」

颯真の突然の質問に、私は慌てた。

「な、なんで!?」

「せっかく海来たんだから泳ぐだろ?」

「……そんなつもりなかった。」

「もったいねぇ。じゃあ、砂浜で遊ぶか?」

「それなら……いいけど。」

砂浜を歩きながら、私はふと颯真の横顔を見た。

「……こうして旅行するなんて、ちょっと不思議。」

「なんで?」

「だって、昔は颯真とこんな風になるなんて思わなかったし。」

「俺は思ってたけど?」

「またそういうことを……」

夕暮れの海を眺めながら、私は颯真と手をつないだ。

「これからも、こうやって一緒にいられるのかな?」

「当たり前だろ。」

颯真は私の手をぎゅっと握った。

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