「麻ちゃん。麻ちゃん!」

 「んわー! 孝志くん?」

 金曜日の夕方。先に帰った私はアパートのソファで寝落ちていたらしい。

 「どうしたの? うなされてたけど。」

 「いや、とんでもない夢見てて。」

 「夢でよかった。なーんて、おれは見てないから言えないけどさ。ご飯作るね。」

 大丈夫だ。
 とんでもない男に引っかからずに、私は素敵な家族に出会えたようだ。