「――という訳で、今年は多分バスケに参加するかもってことが、凡そ決まりました」
帰り道。
並んで歩きながら、今朝の出来事を話していた。
「怪我、って言ってなかった?」
「無茶し過ぎなければ問題ありませんけど――多分、全力でやります」
「そう、なんだ……」
先輩は、予想通り心配そうな面持ちだ。
だからこそ俺も、ちゃんと口にする。
「せっかくだから、その――麻衣先輩に、見に来て欲しくて」
「球技大会を?」
「ええ。この間、身体の為に参加はしないって言ってたでしょ。なら、俺の方を見に来て欲しいんです」
「……なんで、とか、聞いてもいいの?」
「…………最後、だから」
その答えに、先輩は笑った。
笑ってくれた。
「私なんかの為に、無茶していいの?」
「先輩の為だから、無茶したいんです」
俺は足を止めた。
「本当はバスケやりたいとか、たまには動きたいとか、色々個人的な理由もちょっとはあるけど、それ以上に――先輩、運動はして来れなかったけどしたかった、って言ってたじゃないですか。その先輩の代わりになれるかは分からないけど、俺が全力でやれば、ちょっとはその気分も味わえるんじゃないかな、とか……ただの球技大会でも、全力でやって優勝とか出来たら、一緒になって喜べるのかな、なんて……そんなことを思うんです」
「――うん。多分、飛んで喜ぶと思う」
先輩は、当然のことのように言った。
「じゃあ、全力でやります。全力でやって、小さな優勝だけど、先輩にあげます」
「…………ん、じゃあ私も、心配だけど止めない。心配だけど、それ以上に一緒に喜びたい」
先輩は優しく笑って、背中を押してくれた。
「私は何にも出ないから、当日、絶対応援に行くよ。頑張ってね」
「……まぁもっとも、経験者は出ないって暗黙のルールを、うちも二組も破れたらの話ですけど」
「ふふっ。そうだね」
帰り道。
並んで歩きながら、今朝の出来事を話していた。
「怪我、って言ってなかった?」
「無茶し過ぎなければ問題ありませんけど――多分、全力でやります」
「そう、なんだ……」
先輩は、予想通り心配そうな面持ちだ。
だからこそ俺も、ちゃんと口にする。
「せっかくだから、その――麻衣先輩に、見に来て欲しくて」
「球技大会を?」
「ええ。この間、身体の為に参加はしないって言ってたでしょ。なら、俺の方を見に来て欲しいんです」
「……なんで、とか、聞いてもいいの?」
「…………最後、だから」
その答えに、先輩は笑った。
笑ってくれた。
「私なんかの為に、無茶していいの?」
「先輩の為だから、無茶したいんです」
俺は足を止めた。
「本当はバスケやりたいとか、たまには動きたいとか、色々個人的な理由もちょっとはあるけど、それ以上に――先輩、運動はして来れなかったけどしたかった、って言ってたじゃないですか。その先輩の代わりになれるかは分からないけど、俺が全力でやれば、ちょっとはその気分も味わえるんじゃないかな、とか……ただの球技大会でも、全力でやって優勝とか出来たら、一緒になって喜べるのかな、なんて……そんなことを思うんです」
「――うん。多分、飛んで喜ぶと思う」
先輩は、当然のことのように言った。
「じゃあ、全力でやります。全力でやって、小さな優勝だけど、先輩にあげます」
「…………ん、じゃあ私も、心配だけど止めない。心配だけど、それ以上に一緒に喜びたい」
先輩は優しく笑って、背中を押してくれた。
「私は何にも出ないから、当日、絶対応援に行くよ。頑張ってね」
「……まぁもっとも、経験者は出ないって暗黙のルールを、うちも二組も破れたらの話ですけど」
「ふふっ。そうだね」



