お葬式が終わったあと、外に出ると冷たい風が吹いていた
冬の空はどこまでも澄んでいて、雲ひとつなかった
——まるで帆向くんがどこか遠くから見守っているみたいだった
喪服姿のまま、私は呆然と立ち尽くしていた
何を考えればいいのか分からない
何を感じればいいのかも分からない
ただ、胸の奥にぽっかりと空いた穴が、冷たい風に吹かれて広がっていく気がした
「心和さん」
ふいに名前を呼ばれて振り向くと、そこには帆向くんのお母さんが立っていた
「少し、お時間いいかしら?」
私は無言で頷く
彼女に案内されたのは、式場の一角にある控え室だった
奥のテーブルには、小さな封筒が置かれていた
「これは……?」
「帆向が、あなたに渡してほしいって言っていたの」
「……帆向くんが?」
彼女は微笑もうとしたけれど、すぐに涙で声を詰まらせた
「本当は……直接、渡したかったんでしょうね。でも、それが叶わなくなってしまって……」
震える手で封筒を差し出され、私はそっとそれを受け取る
小さくて、軽い
だけど、信じられないくらい重く感じた
「きっと、あなたのことを最後まで想っていたわ」
帆向くんのお母さんの言葉が、胸に突き刺さる
私は何も言えなくて、ただ封筒を強く握りしめた
「読んであげてね。あの子の……最後の気持ちだから」
そう言って、彼女は私の肩を優しく叩くと、静かに部屋を出て行った
私は一人、封筒を見つめる
——開けるのが怖い
でも、開けなきゃいけない
震える指でそっと封を開けると、中から一枚の便箋が出てきた
ゆっくりと広げると、そこには帆向くんの筆跡で、こう書かれていた
——「心和へ」
涙で滲んで、文字がぼやけていく
だけど私は、最後まで読まなきゃいけない
帆向くんが私に残した、最後の言葉を——
冬の空はどこまでも澄んでいて、雲ひとつなかった
——まるで帆向くんがどこか遠くから見守っているみたいだった
喪服姿のまま、私は呆然と立ち尽くしていた
何を考えればいいのか分からない
何を感じればいいのかも分からない
ただ、胸の奥にぽっかりと空いた穴が、冷たい風に吹かれて広がっていく気がした
「心和さん」
ふいに名前を呼ばれて振り向くと、そこには帆向くんのお母さんが立っていた
「少し、お時間いいかしら?」
私は無言で頷く
彼女に案内されたのは、式場の一角にある控え室だった
奥のテーブルには、小さな封筒が置かれていた
「これは……?」
「帆向が、あなたに渡してほしいって言っていたの」
「……帆向くんが?」
彼女は微笑もうとしたけれど、すぐに涙で声を詰まらせた
「本当は……直接、渡したかったんでしょうね。でも、それが叶わなくなってしまって……」
震える手で封筒を差し出され、私はそっとそれを受け取る
小さくて、軽い
だけど、信じられないくらい重く感じた
「きっと、あなたのことを最後まで想っていたわ」
帆向くんのお母さんの言葉が、胸に突き刺さる
私は何も言えなくて、ただ封筒を強く握りしめた
「読んであげてね。あの子の……最後の気持ちだから」
そう言って、彼女は私の肩を優しく叩くと、静かに部屋を出て行った
私は一人、封筒を見つめる
——開けるのが怖い
でも、開けなきゃいけない
震える指でそっと封を開けると、中から一枚の便箋が出てきた
ゆっくりと広げると、そこには帆向くんの筆跡で、こう書かれていた
——「心和へ」
涙で滲んで、文字がぼやけていく
だけど私は、最後まで読まなきゃいけない
帆向くんが私に残した、最後の言葉を——



