冷たい風が吹き抜ける校庭で、生徒たちは一列に並び、校長先生の話を聞いていた

今日は終業式

あっという間に季節は過ぎ、もう春がすぐそこまで来ている

——だけど、私の心はどこか晴れなかった

帆向くん……

ふと空を見上げる。

薄い雲がゆっくりと流れていくその先に、彼の姿を探してしまう

だけど、ここにはいない

病院のベッドの上で、この日を迎えている

「……心和、大丈夫?」

隣にいた優鞠ちゃんが、心配そうに覗き込んできた

「うん……大丈夫」

ぎゅっと拳を握りしめる

——大丈夫、ちゃんとしなきゃ

式が終わると、みんな一斉に教室へ戻っていった

私は少しだけ遅れて、足を引きずるように歩く

「心和!」

振り向くと、叶翔くんが駆け寄ってきた

「今から病院、行くんだろ?」

「うん」

「……俺も行くよ」

「え?」

「今日はどうしても、帆向に伝えたいことがあるんだ」

その表情は、どこか真剣だった

「じゃあ、行こう」

私たちは教室に戻らず、そのまま校門を出た

——帆向くんに、伝えたいことがある

この気持ちを、ちゃんと言葉にしなくちゃいけない

終業式が終わったこの日、私はまた、一歩前に進むことを決めた