二月に入り、街はすっかりバレンタインムードになっていた

ショーウィンドウには可愛らしいチョコレートが並び、どこを見てもピンクや赤のハートの飾りが目に入る

「さて、帆向くんへのプレゼント、どうするの?」

ショッピングモールの雑貨店で、優鞠ちゃんが私に尋ねた

「うーん……チョコはもちろん用意するけど、何か特別なものも一緒に渡したいなって思って」

私は店内を見回しながら答えた

「なるほどね。チョコだけじゃなく、何か形に残るものを贈りたいってことね」

優鞠ちゃんは顎に手を当て、少し考え込む

「帆向くん、何か欲しがってたものとかない?」

「うーん……そういうの、あんまり言わないんだよね
 でも、最近よく本を読んでるみたいだから、しおりとかブックカバーとかもいいかなって思うんだけど」

「それ、いいかも!」

優鞠ちゃんが目を輝かせる

「じゃあ、ちょっと見てみようよ!」

私たちは文房具コーナーに移動し、おしゃれなしおりやブックカバーを手に取ってみる

「これなんてどう?」

優鞠ちゃんが見せてくれたのは、シンプルだけど上品なデザインのブックカバーだった

落ち着いたネイビーの色合いに、小さな星座の模様が入っている

「わあ、素敵……! 帆向くんに似合いそう」

「でしょ? これなら長く使えるし、プレゼントにぴったりだと思う」

「うん、これにする!」

私はしっかりとブックカバーを抱きしめ、レジへと向かった

「でも、心和が帆向くんにバレンタインのプレゼントを渡すところ、ちょっと見てみたいな~」

優鞠ちゃんがからかうように笑う

「えっ、それは恥ずかしいよ……!」

「ふふ、でも楽しみだね。頑張ってね、心和」

そう言って微笑む優鞠ちゃんの顔を見て、私は少しだけ顔を赤らめながら、バレンタイン当日を思い描いた——