帆向くんの温もりがまだ唇に残っている

私たちは波打ち際で静かに寄り添い、しばらく何も言わずに海を眺めていた

「……なんか、夢みたい」

私がそう呟くと、帆向くんは微笑んだ

「夢じゃないよ」

「でも……こんなに幸せでいいのかなって、思っちゃう」

「いいに決まってる」

彼は私の手を、ぎゅっと強く握る

「俺、ちゃんと生きるから」

「……うん」

「もっと心和と、いろんな景色を見たい」

「……私も」

冬の風が吹き抜ける

だけど、帆向くんが隣にいるだけで、寒さなんて感じなかった

「……なあ」

「ん?」

「次はどこに行こうか」

帆向くんは私を見つめながら、ふっと笑った

「行きたい場所、たくさんあるんだ」

「私も」

「じゃあさ——」

彼は一瞬、言葉を切ってから、

「……未来の約束、してもいい?」

「……!」

私の心臓が跳ねる

「俺さ、今まで未来のことを考えるのが怖かったんだ」

「……うん」

「でも、こうしてお前と一緒にいると、どんどん考えたくなる」

彼は私の手をもう一度強く握りしめた

「だから……これから先もずっと、一緒にいたい」

「……帆向くん……」

夕陽に照らされた彼の瞳は、どこまでも真剣だった

「俺と、これからもずっと、一緒にいてくれる?」

「……もちろん」

涙がこぼれそうになるのをこらえながら、私は微笑んだ

「私も、ずっと一緒にいたい」

帆向くんは、安心したように微笑んで——

「ありがとう」

そう言って、もう一度優しくキスを落とした

波の音が静かに響く中、私たちは未来への約束を交わした

——この先、どんなことがあっても、二人で乗り越えていこう

きっと、大丈夫

彼と一緒なら、どこまでも歩いていける——

——君と過ごす未来を、私は信じてる