「——経過は良好ですね」

先生のその一言に、私は思わず帆向くんの顔を見た

彼も驚いたように、先生の言葉をじっと待っている

「順調に回復しています。この調子なら、少しずつ外の空気に触れる機会を増やしても問題ないでしょう」

「……それって?」

「外出許可を出しますよ。ただし、長時間の外出はまだ控えてくださいね」

「本当に……?」

信じられなくて、私は思わず帆向くんの手をぎゅっと握った

「本当です。ただし、無理は禁物です。体調に少しでも異変を感じたら、すぐに戻ってきてください」

「……はい!ありがとうございます!」

私が思わず大きな声で答えると、先生はクスッと笑った

「君の笑顔が何よりの薬みたいだね。これからも、帆向くんを支えてあげてください」

「……!」

「……心和が支えてくれたおかげで、ここまでこれました」

帆向くんが、私の手を優しく握り返してくれる

「じゃあ、今度の週末に、ちょっと外に出てみようか」

「うん!」

ずっと病院の中で過ごしていたから、久しぶりの外の世界が楽しみで仕方なかった

先生の言葉が、私たちにとっての小さな奇跡みたいに感じた——