帆向くんが目を覚ましてから数日が経った。

容態は安定していて、私は毎日病室へ通いながら、彼の回復を見守っていた

そして今日、担当医の先生から呼ばれた

「心和さん、ちょっとお話いいですか?」

「はい!」

私は少し緊張しながら先生の話を聞く

「帆向くんの経過はとても順調です。ただ、体力はまだ戻りきっていません。急な運動や無理は禁物ですが——」

先生は少し微笑んだ

「病院内での軽いお散歩やデートくらいなら、許可してもいいですよ」

「えっ……!」

思わず声が上がる

「本当ですか!?」

「ええ!今日はクリスマスですしね~!
 ただし、あまり長時間にならないようにね!
 無理のない範囲でなら、気分転換も大事ですから」

「……ありがとうございます!」

嬉しくて、私は何度もお辞儀をした

さっそく帆向くんに報告しよう!

私は病室に駆け戻った

「帆向くん!」

「……なんだ?」

本を読んでいた帆向くんが顔を上げる

私は思わず彼の手を取って、満面の笑みで言った

「病院内ならデートしてもいいって!先生が許可くれたよ!」

「……デート?」

帆向くんが少し驚いたように目を瞬かせる

「うん!お散歩したり、カフェでお茶したり——」

「……病院のカフェでデートか」

彼は小さく笑って、「悪くないな」と呟いた

「よし、じゃあ行くか」

「えっ、今?」

「お前がそんなに嬉しそうに言うから、行かないわけにはいかないだろ」

「……!」

帆向くんがそう言って、ベッドからゆっくりと体を起こした

まだ少しふらついているけれど、その顔には笑みが浮かんでいる

「それじゃあ、病院デート、行ってきます!」

私は彼の手をそっと支えながら、病室の扉を開いた——

——この病院の中で、二人だけの特別な時間が始まる