病院の自動ドアが静かに開く
消毒液の香りが鼻をかすめ、冷たい空気が肌を刺した
「帆向くん……」
私は息を切らしながら受付に駆け寄った
「海藤帆向さんの面会は……」
「……申し訳ありません。今はご家族以外の面会は控えていただいています」
やっぱり
お母さんの言った通りだった
「……そうですか」
私は肩を落として、その場で立ち尽くした
「心和ちゃん……」
後ろから、お母さんがゆっくりと声をかけてくれる
「来てくれてありがとう。でも、本当に無理はしないで」
「……お母さん、私……」
言葉に詰まりながら、私は胸に手を当てる
ずっとそばにいるって決めたのに
毎日会いに行くって約束したのに
なのに、今はこうして扉の向こうでしか想うことができない
「……会いたい」
ポツリとこぼれた言葉に、お母さんはそっと私の肩を抱きしめた
「大丈夫。帆向くんはきっと、心和ちゃんの気持ちを分かってるわ」
「でも……っ!」
堪えていた涙が、ぽろぽろと零れ落ちた
「もっと一緒にいたいの……! もっとたくさん話したい……!」
静かな病院の廊下に、嗚咽だけが響く
お母さんは黙って、私の背中を優しくさすり続けた
「会えない時間も、大切なのよ」
「……え?」
「自分の気持ちと向き合う時間があるからこそ、本当に大事なものが見えてくるの」
「でも……」
「帆向くんのことを想っている限り、離れていても、ちゃんと繋がっているわ」
お母さんの優しい声に、私は少しずつ落ち着きを取り戻していった
(繋がってる……)
目の前の扉の向こうで、帆向くんはきっと頑張ってる
私がここにいることも、きっと伝わっている
「……うん」
私は涙を拭って、小さく頷いた
「私、待つよ……帆向くんが目を覚ますまで」
お母さんはそっと微笑んで、私の手をぎゅっと握り返してくれた
病室の扉の向こうにいる帆向くんに——
私の想いが届くことを信じながら
消毒液の香りが鼻をかすめ、冷たい空気が肌を刺した
「帆向くん……」
私は息を切らしながら受付に駆け寄った
「海藤帆向さんの面会は……」
「……申し訳ありません。今はご家族以外の面会は控えていただいています」
やっぱり
お母さんの言った通りだった
「……そうですか」
私は肩を落として、その場で立ち尽くした
「心和ちゃん……」
後ろから、お母さんがゆっくりと声をかけてくれる
「来てくれてありがとう。でも、本当に無理はしないで」
「……お母さん、私……」
言葉に詰まりながら、私は胸に手を当てる
ずっとそばにいるって決めたのに
毎日会いに行くって約束したのに
なのに、今はこうして扉の向こうでしか想うことができない
「……会いたい」
ポツリとこぼれた言葉に、お母さんはそっと私の肩を抱きしめた
「大丈夫。帆向くんはきっと、心和ちゃんの気持ちを分かってるわ」
「でも……っ!」
堪えていた涙が、ぽろぽろと零れ落ちた
「もっと一緒にいたいの……! もっとたくさん話したい……!」
静かな病院の廊下に、嗚咽だけが響く
お母さんは黙って、私の背中を優しくさすり続けた
「会えない時間も、大切なのよ」
「……え?」
「自分の気持ちと向き合う時間があるからこそ、本当に大事なものが見えてくるの」
「でも……」
「帆向くんのことを想っている限り、離れていても、ちゃんと繋がっているわ」
お母さんの優しい声に、私は少しずつ落ち着きを取り戻していった
(繋がってる……)
目の前の扉の向こうで、帆向くんはきっと頑張ってる
私がここにいることも、きっと伝わっている
「……うん」
私は涙を拭って、小さく頷いた
「私、待つよ……帆向くんが目を覚ますまで」
お母さんはそっと微笑んで、私の手をぎゅっと握り返してくれた
病室の扉の向こうにいる帆向くんに——
私の想いが届くことを信じながら



