「大丈夫ですか!? しっかりしてください!」
救急隊員の声が遠くで聞こえる
私は海藤くんの手を握りしめながら、泣きそうな声で呼びかけた
「海藤くん……お願いだから、目を開けて……!」
彼の意識はまだ戻らない
揺れる救急車の中で、私はただ祈ることしかできなかった
——どうか、どうか助かって
病院に着くと、海藤くんはすぐに処置室へと運ばれた
私は呆然としたまま、待合室の椅子に座り込む
心臓の音が、うるさいくらいに響いていた
「心和!」
駆けつけたのは、お母さんだった
「お母さん……!」
お母さんの顔を見た瞬間、張り詰めていたものが崩れそうになる
「大丈夫!? どこかケガはしてない?」
「うん、私は大丈夫……でも、海藤くんが……」
お母さんはぎゅっと私を抱きしめてくれた
「大丈夫よ、ちゃんとお医者さんがいるんだから」
でも、そんな簡単に「大丈夫」なんて言えない
彼の病気のこと——私はまだ、何も知らないのに
「——すみません、海藤帆向の家族の方は……」
看護師さんが声をかけたと同時に、廊下の向こうから慌ただしい足音が聞こえた
「息子は!? 帆向は!?」
駆け込んできたのは、海藤くんのお父さんとお母さんだった
その後ろから、叶翔くん、花緋ちゃん、優鞠ちゃん、純鈴ちゃん、心寧ちゃんも息を切らしてやってくる
「帆向は……大丈夫なんですか!?」
叶翔くんが必死な表情で看護師さんに詰め寄る
「現在、処置室でお医者様が診ています。詳しいことはまだ——」
「そんな……」
花緋ちゃんが涙を滲ませ、優鞠ちゃんは唇を噛みしめる
純鈴ちゃんも不安そうに両手を握りしめ、心寧ちゃんは何も言わずにただ祈るように俯いていた
「……俺のせいだ」
叶翔くんが低く呟いた
「叶翔くん……?」
「俺は……あいつの病気のことを知ってたのに……何もできなかった……!」
悔しそうに拳を握りしめる叶翔くんの肩を、私はそっと掴んだ
「違う……誰のせいでもないよ」
——ただ、一刻も早く、無事でいてほしい
それだけを願って、私はもう一度、強く手を握りしめた——
救急隊員の声が遠くで聞こえる
私は海藤くんの手を握りしめながら、泣きそうな声で呼びかけた
「海藤くん……お願いだから、目を開けて……!」
彼の意識はまだ戻らない
揺れる救急車の中で、私はただ祈ることしかできなかった
——どうか、どうか助かって
病院に着くと、海藤くんはすぐに処置室へと運ばれた
私は呆然としたまま、待合室の椅子に座り込む
心臓の音が、うるさいくらいに響いていた
「心和!」
駆けつけたのは、お母さんだった
「お母さん……!」
お母さんの顔を見た瞬間、張り詰めていたものが崩れそうになる
「大丈夫!? どこかケガはしてない?」
「うん、私は大丈夫……でも、海藤くんが……」
お母さんはぎゅっと私を抱きしめてくれた
「大丈夫よ、ちゃんとお医者さんがいるんだから」
でも、そんな簡単に「大丈夫」なんて言えない
彼の病気のこと——私はまだ、何も知らないのに
「——すみません、海藤帆向の家族の方は……」
看護師さんが声をかけたと同時に、廊下の向こうから慌ただしい足音が聞こえた
「息子は!? 帆向は!?」
駆け込んできたのは、海藤くんのお父さんとお母さんだった
その後ろから、叶翔くん、花緋ちゃん、優鞠ちゃん、純鈴ちゃん、心寧ちゃんも息を切らしてやってくる
「帆向は……大丈夫なんですか!?」
叶翔くんが必死な表情で看護師さんに詰め寄る
「現在、処置室でお医者様が診ています。詳しいことはまだ——」
「そんな……」
花緋ちゃんが涙を滲ませ、優鞠ちゃんは唇を噛みしめる
純鈴ちゃんも不安そうに両手を握りしめ、心寧ちゃんは何も言わずにただ祈るように俯いていた
「……俺のせいだ」
叶翔くんが低く呟いた
「叶翔くん……?」
「俺は……あいつの病気のことを知ってたのに……何もできなかった……!」
悔しそうに拳を握りしめる叶翔くんの肩を、私はそっと掴んだ
「違う……誰のせいでもないよ」
——ただ、一刻も早く、無事でいてほしい
それだけを願って、私はもう一度、強く手を握りしめた——



