休日の朝、私は待ち合わせの場所に向かった
潮風が心地よく吹き抜ける駅のホームには、見慣れた姿があった
「おはよう、海藤くんじゃなくて、帆向くん!」
「おう!……久しぶりに、あの海に行こうか」
海藤くんは、どこか遠くを見つめながら微かに微笑んだ
——海
ここに来るのは夏休み以来だった
昨日、突然、海藤くんからLINEが来たのだ
「明日、海に行こう」と
たまたま予定が空いていたこともあって、今日行くことになった
ここは、あの日、私が彼の言葉に救われた場所
今度は、私が彼の力になりたい
電車に揺られながら、窓の外の景色をぼんやりと眺める
海藤くんは、私の隣で静かに目を閉じていた
「……海藤くん?」
「……ん、ちょっと眠かっただけ」
「そっか」
彼はどこか儚げで、いつもより少しだけ弱々しく見えた
海に着くと、心がふっと軽くなった。
潮の香り、波の音、柔らかい砂の感触
「懐かしいね」
「……ああ」
私たちは並んで波打ち際を歩く
波が足元に触れるたびに、少しだけ冷たさを感じた
「帆向くん、どんな話をしようとしてたの?」
そう問いかけると、彼の歩みがふと止まった
「……俺は、お前にちゃんと話さなきゃいけないことがある」
海藤くんは、少し迷うように拳を握りしめた
「……俺の余命のこと——」
その言葉が口からこぼれた瞬間だった
「……っ!」
海藤くんの体が、ふらりと傾いた
「えっ——海藤くん!!」
私は慌てて彼を支えようとした
でも、彼の体は私の腕の中で力なく崩れるように倒れ込んだ
「ちょっと、海藤くん!?しっかりして!!」
彼の顔色が、今まで見たことがないほど青白い
「く……そ……」
かすれた声で何かを言おうとするけれど、彼の意識はどんどん遠のいていくようだった
「お願い、目を開けて!!」
波の音が耳を打つ中、私は震える手で海藤くんの頬を包んだ
「誰か——誰か助けて!!」
——夏の終わりの海に、私の叫びが響き渡った
潮風が心地よく吹き抜ける駅のホームには、見慣れた姿があった
「おはよう、海藤くんじゃなくて、帆向くん!」
「おう!……久しぶりに、あの海に行こうか」
海藤くんは、どこか遠くを見つめながら微かに微笑んだ
——海
ここに来るのは夏休み以来だった
昨日、突然、海藤くんからLINEが来たのだ
「明日、海に行こう」と
たまたま予定が空いていたこともあって、今日行くことになった
ここは、あの日、私が彼の言葉に救われた場所
今度は、私が彼の力になりたい
電車に揺られながら、窓の外の景色をぼんやりと眺める
海藤くんは、私の隣で静かに目を閉じていた
「……海藤くん?」
「……ん、ちょっと眠かっただけ」
「そっか」
彼はどこか儚げで、いつもより少しだけ弱々しく見えた
海に着くと、心がふっと軽くなった。
潮の香り、波の音、柔らかい砂の感触
「懐かしいね」
「……ああ」
私たちは並んで波打ち際を歩く
波が足元に触れるたびに、少しだけ冷たさを感じた
「帆向くん、どんな話をしようとしてたの?」
そう問いかけると、彼の歩みがふと止まった
「……俺は、お前にちゃんと話さなきゃいけないことがある」
海藤くんは、少し迷うように拳を握りしめた
「……俺の余命のこと——」
その言葉が口からこぼれた瞬間だった
「……っ!」
海藤くんの体が、ふらりと傾いた
「えっ——海藤くん!!」
私は慌てて彼を支えようとした
でも、彼の体は私の腕の中で力なく崩れるように倒れ込んだ
「ちょっと、海藤くん!?しっかりして!!」
彼の顔色が、今まで見たことがないほど青白い
「く……そ……」
かすれた声で何かを言おうとするけれど、彼の意識はどんどん遠のいていくようだった
「お願い、目を開けて!!」
波の音が耳を打つ中、私は震える手で海藤くんの頬を包んだ
「誰か——誰か助けて!!」
——夏の終わりの海に、私の叫びが響き渡った



