文化祭の余韻がまだ残る中、教室には楽しそうな笑い声が響いていた

「ねえねえ、せっかく文化祭も終わったし、みんなで遊びに行かない?」

そう言い出したのは、花緋ちゃんだった

「遊びに?」

「うん!ずっと準備とかでバタバタしてたし、ちょっと息抜きしたいなって思って!」

「それ、いいかも!」

優鞠ちゃんもぱっと顔を輝かせた

「どこ行くの?」

純鈴ちゃんが興味津々で尋ねると、花緋ちゃんはニヤリと笑う

「やっぱり定番は、ショッピングとか?カフェ巡りとかもいいし、みんなで映画観るのもアリじゃない?」

「いいね!オシャレなカフェとか行きたい!」

優鞠ちゃんが嬉しそうに賛成する

「でも、遊ぶってなると土日がいいよね?」

純鈴ちゃんがスケジュールを考え始めると、心寧ちゃんが少し遠慮がちに口を開いた

「……私も、一緒に行っていいの?」

「もちろん!」

「心寧ちゃんも一緒じゃないと意味ないでしょ!」

みんなが口々にそう言うと、心寧ちゃんはホッとしたように微笑んだ

「ありがとう……!」

「じゃあ、来週の土曜日にしようよ!」

花緋ちゃんが勢いよく決定し、みんなも頷く

「よし!じゃあ行きたいお店とか、後でグループLINEで決めよ!」

「はーい!」

楽しい計画に、みんなのテンションは最高潮に達していた

心和はそんな友達の笑顔を見て、胸がじんわりと温かくなった

——こんな風に、みんなで笑い合える時間がずっと続けばいいのに

そんなことを、ふと思ったのだった

「じゃあ、行く場所は後で決めるとして、とりあえず土曜日は空けとくってことで!」

花緋ちゃんが楽しそうに言うと、みんなが「はーい!」と元気よく返事をした

「待って、待って!」純鈴ちゃんがスマホを取り出しながら言う

「みんなスケジュール大丈夫?バイトとか、予定とか!」

「あ、それ大事かも」

優鞠ちゃんが頷くと、心寧ちゃんが少し困った顔をした

「あの……私は大丈夫なんだけど……」

「ん?どうしたの?」

「……遊びに行くの、すごく楽しみなんだけど、私こういうの、久しぶりで……ちょっと緊張してて……」

心寧ちゃんは恥ずかしそうに目を伏せた

「そっか……」

心和はそっと微笑んで、心寧ちゃんの手を優しく握った

「大丈夫だよ、私たちと一緒なら!」

「そうそう!ただの友達同士のおでかけだし、気楽に楽しも!」

花緋ちゃんも明るく笑う

「それに、むしろ私たちが心寧ちゃんにオシャレなカフェとか、流行りのショップとか、いろいろ教えちゃうからね!」

「うんうん、女子会ってそういうのが楽しいんだから!」

優鞠ちゃんも頷く

「……ありがとう」

心寧ちゃんは、少し潤んだ目で微笑んだ

「じゃあ決まり!女子会、めいっぱい楽しもうね!」

花緋ちゃんが拳を掲げると、みんなも「おー!」と声を合わせた

でも、心和はその楽しさの裏で、どこか胸の奥に小さな不安があった

それは、昨日のことが頭をよぎるから

——「心和」

そう名前を呼んだ、海藤くんの声

——「お前のこと、好きだから」

あのキスの感触がまだ残っている気がして、ふいに顔が熱くなった

土曜日、海藤くんは何してるんだろ……

考えても仕方ないのに、頭の片隅にずっと海藤くんのことが残っている自分に気づいて、心和はこっそりとため息をついた

楽しい女子会のはずなのに、なんだか彼に会いたくなってしまう——

そんな自分に、心和は少しだけ戸惑っていた