「それでも私は、諦めるつもり、ないよ。」

——その言葉が、何度も何度も頭の中でこだました。

嘘でしょう？

そんなの、聞きたくなかった

聞くんじゃなかった

でも。

聞いてしまった

「……はぁ。」

私はその場に立ち尽くしたまま、力なくため息をついた

（どうしよう……）

星奈さんが海藤くんのことをまだ好きだってことも、

彼女がこの学校に転校してきた理由も、

全部、今のこの一瞬で知ってしまった

だけど、一番ショックだったのは——

海藤くんが、何も言わなかったこと

「……帰ろっか」

優鞠ちゃんが、そっと私の肩に手を置いた

「……うん」

私は小さく頷いて、その場を離れた

その夜。

スマホを握りしめたまま、ベッドに横になる

——海藤くんからの連絡は、来なかった

おやすみのLINEも、いつもの他愛ないメッセージも、何もない

なんで？

屋上で星奈さんと話したあと、何を考えてたんだろう

私に言いたいことがあるなら、言ってほしいのに

何も言わないのが、怖かった

——私たち、ちゃんと付き合ってるよね？

スマホの画面を見つめながら、何度も考える

……聞いてみようかな

そう思って、私はゆっくりとトーク画面を開いた

でも、そのとき

ピコンッ

突然、通知音が鳴る

海藤くん——？

そう思って、すぐにスマホを確認したけれど——

「叶翔」

そう表示された名前に、私は少しだけ戸惑う。

叶翔くん……？

メッセージを開くと、たった一言だけ

『明日、放課後時間ある？ 話したいことがある』

私の胸の奥で、何かがざわついた。