夏の暑さが少しずつ和らいで、蝉の声が遠ざかる頃

...2学期が始まった。

「久しぶりー!」

「宿題終わった? やばくない?」

学校中に響く、久しぶりに再会したクラスメイトたちの声

その声も雰囲気も前までは好きじゃなかったけど

今は大好きになっていた

教室の中も夏休みの思い出話で賑わっていて、席に着くなり、私も友達に囲まれた

「ねえ、夏休みどうだった?」

「どこか行った?」

そんな他愛もない話をしていると

——ふいに、みんなの視線がある一点に集中した

「え、待って待って……」

「なんで……? ちょっと……!」

ざわざわと、クラスが騒がしくなる。

何かと思って振り返ると

——そこには、教室に入ってきた海藤くんの姿があった

……そして、彼は迷いもせず、まっすぐに私の隣の席へ向かってきた

「おはよ!」

「お、おはよう……!」

心臓が跳ねる

でも、それ以上に教室のざわめきが一気に大きくなる

「え、待って……海藤くん、今さらっと隣に座ったよね?」

「え、てか、おはよう、って……めっちゃ自然じゃなかった?」

「ちょっと待って、もしかして、付き合ってる!?」

——その瞬間、教室中が騒然とした

「え、嘘でしょ!?いつの間に!?」

「やばいやばい、え、二人ってそんな感じだったの!?」

「え、マジでどういうこと!?誰か詳しく!」

いつもはおとなしい純鈴に腕を掴まれ、質問攻めにされる

「えっと……」

返事に困って、思わず海藤くんの方を見ると——

「……あぁ。」

彼は少しだけ笑って、あっさりとした声で言った

「付き合ってるけど?」

——その瞬間、教室中が悲鳴に包まれた

「ええええええええええ!?!?!?」

「マジで!?嘘でしょ!?!?!?」

「誰か説明してぇぇぇぇ!!」

私はというと、完全に顔が真っ赤!

「ちょ、海藤くん!?!?!?」

「何?」

「何?じゃなくて!!」

「別に隠すつもりなかったし」

さらっと言いながら、彼は私の机に肘をついて、私を見つめる

その目が、夏の海の色を思い出させるような気がして——

私はもう、顔を伏せるしかなかった

——こうして、私たちの2学期は、思った以上に騒がしい幕開けとなった