君が居場所をくれたから

「22日は晴れ……気温は……」

スマホの天気予報アプリを開きながら、心和は小さく呟いた
どうやら、当日は晴れの予報。気温も高くなりそうだ

「……じゃあ、服装はどうしよう」

部屋のクローゼットを開けて、中を覗く

帆向と一緒に海へ行くとはいえ、ただ海辺を歩くだけ

特別なおしゃれをする必要はない……はずなのに、どうしてか少しだけ迷ってしまう

「……やっぱり、シンプルなのが一番かな」

目に留まったのは、薄いブルーのブラウスと白のスカート

海の色に合いそうな気がして、それをベッドに広げた

「うん……こんな感じでいいかな」

念のため、日焼け止めや帽子も用意する

夏の日差しは強いし、海辺は思ったより暑いかもしれない

「でも……帆向って、ちゃんと準備してるのかな」

そんなことを考えながら、スマホを手に取る

連絡を入れようかと思ったけれど、なんとなく気が引けてしまった

どうせなら、当日に「準備してなくて困った!」なんて言ってくる帆向を想像する方が面白い

「……まあ、あの人なら何とかするか」

そう思い直して、スマホを置く

それにしても、帆向と二人で遊びに行くのはこれが初めてだ

今までは学校や、みんなと一緒の帰り道だった

こうして、二人きりで約束をするのはなんだか不思議な感じがする

「……楽しみ、なのかな」

小さく呟いてみる

あまり意識しないようにしていたけれど、内心、少しだけワクワクしている自分がいるのを感じた

「……まあ、考えすぎないでおこう」

準備がひと通り終わると、心和はベッドに座り、そっと窓の外を眺めた

夜の空は静かで、夏の風が涼しく吹き抜ける

22日

帆向と一緒に過ごす、特別な一日

心和の胸の奥に、少しだけ高鳴る鼓動が響いた――