「……この問題、解けた?」
『お、待って待って……あー、これか~えーっと……』
帆向の声がスマホ越しに聞こえてくる
心和はペンを握りしめたまま、プリントの問題を睨みつけた
「このxの値を求めて……、yを代入して……えっと……」
『うーん、ここで詰まるのか……くっそ、先生の説明、全然覚えてねぇ!』
「なんで覚えてないのに偉そうに教えようとするの……」
『いやいや、心和が数学苦手そうだから、俺が助けてやらなきゃって思ったんだよ? ほら、俺って頼れる男だから』
「どの口が言ってるの……」
思わずため息をつく
が、次の瞬間、スマホから帆向の楽しそうな笑い声が響いた
『ま、結局頼れないんだけどな!』
「ダメじゃん……」
『ははっ、いやでもさ、一緒に考えるのは悪くなくね? こうやってさ、通話しながら宿題とか、なんか青春っぽくね?』
「青春……?」
その言葉に、心和は少し考え込んだ
確かに、こうやって誰かと宿題をするのは初めてかもしれない
今まで、一人で黙々と机に向かうことばかりだった
こうして、くだらない会話をしながら誰かと問題を解くなんて、どこか新鮮だった
「……まあ、悪くはないかも」
『おっ、素直じゃん! なんか嬉しいな』
海藤くんが笑いながら言う
『でもさ、廣瀬って結構変わってるよな』
「変わってる?」
『うん、なんか……最初、すげー話しかけづらかったし』
「……あ、それはよく言われる」
『やっぱり? でもさ、実際に話してみると全然違うよな』
「どういうこと?」
『いや、なんかもっと冷たい子かと思ってたんだけど、意外と普通にツッコんでくれるし、なんだかんだで付き合ってくれるし』
「……それ、褒めてるの?」
『褒めてるよ! だからさ、もっとみんなと喋ればいいのにって思う』
心和は少し黙った。
今は、優鞠や花緋、純鈴とも話すようになったけれど、まだまだぎこちない部分もある
帆向みたいに自然と人と関われたら、もっと楽なんだろうな、と思う
「……でも、難しいよ」
『難しくねーよ。ほら、俺とこうやって話せてんじゃん』
「あなたは……ちょっと特別」
言った後で、少し恥ずかしくなった
でも、帆向はあまり気にした様子もなく、楽しそうに笑っていた
『そっか、俺は特別か~!じゃあ、特別な俺が心和の人付き合い指南役やってやろう』
「え?」
『これから俺とたくさん話して、いっぱい笑って、色んな人と関わる練習していこうぜ!』
「……何それ」
『なんか面白くね? 俺、先生になるわ!』
「先生って……」
『よし、じゃあまず第一課題! “海藤帆向に全力で笑いながらツッコミを入れる”!』
「無理……」
『え~、なんで? やる気ない生徒は困るなあ』
帆向のふざけた声に、心和は思わず小さく笑ってしまった
そして、それを聞いた帆向がすかさず言う
『おっ、笑った! 俺の勝ち!』
「勝ち負けとかないから……」
『いや、あるね! 今日は俺の圧勝!』
心和はまたため息をついた
でも、その顔には少しだけ笑みが浮かんでいた
『お、待って待って……あー、これか~えーっと……』
帆向の声がスマホ越しに聞こえてくる
心和はペンを握りしめたまま、プリントの問題を睨みつけた
「このxの値を求めて……、yを代入して……えっと……」
『うーん、ここで詰まるのか……くっそ、先生の説明、全然覚えてねぇ!』
「なんで覚えてないのに偉そうに教えようとするの……」
『いやいや、心和が数学苦手そうだから、俺が助けてやらなきゃって思ったんだよ? ほら、俺って頼れる男だから』
「どの口が言ってるの……」
思わずため息をつく
が、次の瞬間、スマホから帆向の楽しそうな笑い声が響いた
『ま、結局頼れないんだけどな!』
「ダメじゃん……」
『ははっ、いやでもさ、一緒に考えるのは悪くなくね? こうやってさ、通話しながら宿題とか、なんか青春っぽくね?』
「青春……?」
その言葉に、心和は少し考え込んだ
確かに、こうやって誰かと宿題をするのは初めてかもしれない
今まで、一人で黙々と机に向かうことばかりだった
こうして、くだらない会話をしながら誰かと問題を解くなんて、どこか新鮮だった
「……まあ、悪くはないかも」
『おっ、素直じゃん! なんか嬉しいな』
海藤くんが笑いながら言う
『でもさ、廣瀬って結構変わってるよな』
「変わってる?」
『うん、なんか……最初、すげー話しかけづらかったし』
「……あ、それはよく言われる」
『やっぱり? でもさ、実際に話してみると全然違うよな』
「どういうこと?」
『いや、なんかもっと冷たい子かと思ってたんだけど、意外と普通にツッコんでくれるし、なんだかんだで付き合ってくれるし』
「……それ、褒めてるの?」
『褒めてるよ! だからさ、もっとみんなと喋ればいいのにって思う』
心和は少し黙った。
今は、優鞠や花緋、純鈴とも話すようになったけれど、まだまだぎこちない部分もある
帆向みたいに自然と人と関われたら、もっと楽なんだろうな、と思う
「……でも、難しいよ」
『難しくねーよ。ほら、俺とこうやって話せてんじゃん』
「あなたは……ちょっと特別」
言った後で、少し恥ずかしくなった
でも、帆向はあまり気にした様子もなく、楽しそうに笑っていた
『そっか、俺は特別か~!じゃあ、特別な俺が心和の人付き合い指南役やってやろう』
「え?」
『これから俺とたくさん話して、いっぱい笑って、色んな人と関わる練習していこうぜ!』
「……何それ」
『なんか面白くね? 俺、先生になるわ!』
「先生って……」
『よし、じゃあまず第一課題! “海藤帆向に全力で笑いながらツッコミを入れる”!』
「無理……」
『え~、なんで? やる気ない生徒は困るなあ』
帆向のふざけた声に、心和は思わず小さく笑ってしまった
そして、それを聞いた帆向がすかさず言う
『おっ、笑った! 俺の勝ち!』
「勝ち負けとかないから……」
『いや、あるね! 今日は俺の圧勝!』
心和はまたため息をついた
でも、その顔には少しだけ笑みが浮かんでいた



