玄関を開けると、静かな家の中に涼しい空気が流れ込んできた

(……楽しかったな)

靴を脱ぎ、リビングに行くと、母が声をかけてきた

「おかえり!楽しかった?」

「……うん!」

短い返事だったけれど、母はそれだけで察したのか、微笑んだ。

「よかったね」

心和は自分の部屋に戻ると、ベッドに倒れ込んだ

遊園地ではしゃぎすぎて、体力を使い果たしたらしい

ピコン♪

スマホの通知音が鳴る

……グループLINEかな?

そう思って画面を見ると、そこには海藤帆向からのメッセージが表示されていた

帆向:「おい、廣瀬。今日の遊園地どうだった?」

思わず、クスッと笑ってしまう

どうして知ってるんだろう、と思ったけれど、たぶん優鞠たちから聞いたんだろう

心和:「楽しかったよ」

そう送ると、すぐに既読がついた。

帆向:「そっか。それならよかった」

帆向:「次は俺とも遊べよ」

(……次?)

心和は少し考えた後、

心和:「……考えとく」

そう送ると、今度は帆向からスタンプが返ってきた

ニヤリと笑う顔のスタンプだった

スマホをそっと置いて、窓の外を見上げる

今日見た観覧車の夜景と、みんなの笑顔が思い出された

……明日も、またこんな日が来るのかな

心和は、そっと目を閉じた