「もし少しでも寂しいって思ったことがあるなら……俺が一緒にいるよ」

廣瀬心和の世界は、ずっとひとりきりだった

それが、私にとって“常識”で、あたりまえの気持ちだった

しかしある日、そんな私の日常が大きく変わる

彼は、教室のど真ん中に座っていた

女性だろうと男性だろうと関係なく、誰とでも自然に話せる

明るくて、人憩っこくて、気付くといつも周りに人がいる

私とは正反対の人

私の気持ちを見通すように、彼は笑った

それからというもの、彼はしつこいくらいに私に話しかけてきた

授業の合間も、帰り道も、昼休みも

彼は私に個人の関係を作らせようとした

最初は戸惑ったけれど、気づけば彼の存在は心地よく感じるようになっていた

私は、初めて“ひとりじゃない”という感覚を知った

だけど――

他の明るい笑顔の裏に隠された私も知らなかった私の秘密

そして、私たちの時間には、制限があるということを初めて知った