「別の子だ」
「別の子? スケルトンはどうしたんですか?」
「いる。その子と一緒にな」
「ええっ?」
どういうことなのか分からなくてリシアは眉をひそめる。
異常な個体のスケルトンがここで人を襲ったという話だけでもまた複雑なのにさらにスケルトンが子供と一緒にいるなんてウィグリーンは何を見ているのだと思わざるを得ない。
「スケルトンが鍵を開けて囚われている子を助けようとしている……ここまでだ」
「あれに捕まってた子を助けた? スケルトンが?」
またしてもスケルトンの意味の分からない行動が飛び出してきた。
ここで人さらいは死んでしまったので記憶を見ることができたのはここまでだった。
最後の方も目は掠れていて微妙な見え方であったがスケルトンがその場にいた子と囚われた子の二人の子供を襲わなかったことは間違いない。
「人さらいが……スケルトンに襲われて……そしてスケルトンと子供が一緒にいて……人さらいにさらわれた子供を助けた?」
ウィグリーンから聞いた話をまとめて口に出してみるけれど何が起きているのか全く分からない。
異常な個体であるスケルトンが人さらいを襲ったことは理解できる。
スケルトンがたまたま移動してきて、人さらいがたまたまここで野営していたのなら事故が起きても不思議なことではない。
ただやはりそれでも人さらいたちが焚き火の周りで死んでいるのは少しおかしい。
焚き火の周りを囲むように死んでいるということはほとんど対応できないまま死んだということである。
ウィグリーンが見た記憶では奇襲に気づかないまま一人一人やられていったようで、気づかなかったというのは結構奇妙な話だ。
異常な個体なスケルトンにやられたのだからしょうがないと無理矢理納得することにしてもそのあとが大問題である。
子供が近くにいた。
タビロホ村では子供も大人も関係なくみんなスケルトンにやられてしまった。
スケルトンは子供にも容赦ないはずなのにどうして子供がいたのか。
さらには捕えられていた子供もいたらしく、それを助けたのもまた不思議な行為である。
「うー! わけわかんなくて頭痛くなりそう!」
「俺はこんなことに連れてこられた時点で頭痛いがな」
ウィグリーンはため息をつく。
何回か飯奢るから手伝って欲しいなどと頼まれた。
古くからの友人なので仕方なく引き受けたもののこんな複雑なことになるなら断っておけばよかったとため息しか出てこない。
「まあ異常な個体は異常な個体で間違いない。そう報告して終わりにしよう。……なんだその目は?」
「こっちの方に移動してるということは……もっとあっちに行ったら何か分かるかも?」
「お前……」
リシアはまだ諦めていない目をしていた。
面倒そうだからウィグリーンは帰りたいがリシアは疑問を疑問のままにしておけないと考えていた。
タビロホ村からここまでスケルトンは移動してきていた。
確実なことは何も言えないが道沿いにそのまま移動している可能性はある。
「どうせなら大地の記憶使えるやつ連れてくればよかったのに」
「そんな魔法使える人呼ぼうと思ったら破産しちゃうよ」
「俺だって安かないんだぞ。お前だから飯で勘弁してやってるってのに……」
「感謝してるからさ。ね、お願い!」
「……もう少しだけだぞ」
昔からリシアのお願いには弱い。
ウィグリーンは深いため息をついてリシアの好きにさせてみることにした。
ーーーーー
「魔物が多いな」
「多いですね……」
リシアもウィグリーンもそれなりに腕が立つ。
襲いかかってきたオオカミの魔物を軽く切り倒してため息をつく。
たとえ道を歩いていようと外なら魔物に遭遇する可能性はゼロにならない。
なので魔物に襲われることについては仕方ないと割り切っている。
しかし人がよく通る道を歩いていれば多少魔物も知恵を働かせて襲いかかってきにくくなる。
それなのに結構魔物が襲いかかってくるものだから二人とも精神的に疲れていた。
「何かあったのですかね?」
「魔物の生息域に変動を何かがあるというのか? まさか……」
「例のスケルトンかもしれません」
「そうなんでも繋げるもんじゃない。合理的に考えられる理由を見つけてから繋げるんだ」
「魔物がよく襲いかかってくる理由に心当たりあるんですか?」
「今のところは思いつかないが……近くに死体でもあって魔物が集まってるのかもしれないだろ」
「まあ確かにそうしたこともありますね」
魔物は死体を食い荒らす。
魔物だろうが人だろうが関係なく食べるものも多いので死体があると魔物が集まってしまうことも多い。
そのためにしっかりと処理しなければならないのだが時にマナーを守らない冒険者もいる。
ちゃんと魔物の死体を処理しないために魔物が近くに集まることもよくあることだった。
他にも魔物に負けた冒険者の死体に魔物が集まることもある。
こちらの場合は処理してくれる人がいないので魔物が集まっても仕方ない。
「周辺を捜索してみましょう。何かあるかもしれません」
「……ほんと何かに首突っ込むの好きだな」
「……放ってはおけませんよ」
どうせ急ぐ旅ではなく、スケルトンがどこに行ったのかも分からない。
少し立ち止まっても変わりはないだろうとウィグリーンもため息をつきながらリシアに従うことにした。
「別の子? スケルトンはどうしたんですか?」
「いる。その子と一緒にな」
「ええっ?」
どういうことなのか分からなくてリシアは眉をひそめる。
異常な個体のスケルトンがここで人を襲ったという話だけでもまた複雑なのにさらにスケルトンが子供と一緒にいるなんてウィグリーンは何を見ているのだと思わざるを得ない。
「スケルトンが鍵を開けて囚われている子を助けようとしている……ここまでだ」
「あれに捕まってた子を助けた? スケルトンが?」
またしてもスケルトンの意味の分からない行動が飛び出してきた。
ここで人さらいは死んでしまったので記憶を見ることができたのはここまでだった。
最後の方も目は掠れていて微妙な見え方であったがスケルトンがその場にいた子と囚われた子の二人の子供を襲わなかったことは間違いない。
「人さらいが……スケルトンに襲われて……そしてスケルトンと子供が一緒にいて……人さらいにさらわれた子供を助けた?」
ウィグリーンから聞いた話をまとめて口に出してみるけれど何が起きているのか全く分からない。
異常な個体であるスケルトンが人さらいを襲ったことは理解できる。
スケルトンがたまたま移動してきて、人さらいがたまたまここで野営していたのなら事故が起きても不思議なことではない。
ただやはりそれでも人さらいたちが焚き火の周りで死んでいるのは少しおかしい。
焚き火の周りを囲むように死んでいるということはほとんど対応できないまま死んだということである。
ウィグリーンが見た記憶では奇襲に気づかないまま一人一人やられていったようで、気づかなかったというのは結構奇妙な話だ。
異常な個体なスケルトンにやられたのだからしょうがないと無理矢理納得することにしてもそのあとが大問題である。
子供が近くにいた。
タビロホ村では子供も大人も関係なくみんなスケルトンにやられてしまった。
スケルトンは子供にも容赦ないはずなのにどうして子供がいたのか。
さらには捕えられていた子供もいたらしく、それを助けたのもまた不思議な行為である。
「うー! わけわかんなくて頭痛くなりそう!」
「俺はこんなことに連れてこられた時点で頭痛いがな」
ウィグリーンはため息をつく。
何回か飯奢るから手伝って欲しいなどと頼まれた。
古くからの友人なので仕方なく引き受けたもののこんな複雑なことになるなら断っておけばよかったとため息しか出てこない。
「まあ異常な個体は異常な個体で間違いない。そう報告して終わりにしよう。……なんだその目は?」
「こっちの方に移動してるということは……もっとあっちに行ったら何か分かるかも?」
「お前……」
リシアはまだ諦めていない目をしていた。
面倒そうだからウィグリーンは帰りたいがリシアは疑問を疑問のままにしておけないと考えていた。
タビロホ村からここまでスケルトンは移動してきていた。
確実なことは何も言えないが道沿いにそのまま移動している可能性はある。
「どうせなら大地の記憶使えるやつ連れてくればよかったのに」
「そんな魔法使える人呼ぼうと思ったら破産しちゃうよ」
「俺だって安かないんだぞ。お前だから飯で勘弁してやってるってのに……」
「感謝してるからさ。ね、お願い!」
「……もう少しだけだぞ」
昔からリシアのお願いには弱い。
ウィグリーンは深いため息をついてリシアの好きにさせてみることにした。
ーーーーー
「魔物が多いな」
「多いですね……」
リシアもウィグリーンもそれなりに腕が立つ。
襲いかかってきたオオカミの魔物を軽く切り倒してため息をつく。
たとえ道を歩いていようと外なら魔物に遭遇する可能性はゼロにならない。
なので魔物に襲われることについては仕方ないと割り切っている。
しかし人がよく通る道を歩いていれば多少魔物も知恵を働かせて襲いかかってきにくくなる。
それなのに結構魔物が襲いかかってくるものだから二人とも精神的に疲れていた。
「何かあったのですかね?」
「魔物の生息域に変動を何かがあるというのか? まさか……」
「例のスケルトンかもしれません」
「そうなんでも繋げるもんじゃない。合理的に考えられる理由を見つけてから繋げるんだ」
「魔物がよく襲いかかってくる理由に心当たりあるんですか?」
「今のところは思いつかないが……近くに死体でもあって魔物が集まってるのかもしれないだろ」
「まあ確かにそうしたこともありますね」
魔物は死体を食い荒らす。
魔物だろうが人だろうが関係なく食べるものも多いので死体があると魔物が集まってしまうことも多い。
そのためにしっかりと処理しなければならないのだが時にマナーを守らない冒険者もいる。
ちゃんと魔物の死体を処理しないために魔物が近くに集まることもよくあることだった。
他にも魔物に負けた冒険者の死体に魔物が集まることもある。
こちらの場合は処理してくれる人がいないので魔物が集まっても仕方ない。
「周辺を捜索してみましょう。何かあるかもしれません」
「……ほんと何かに首突っ込むの好きだな」
「……放ってはおけませんよ」
どうせ急ぐ旅ではなく、スケルトンがどこに行ったのかも分からない。
少し立ち止まっても変わりはないだろうとウィグリーンもため息をつきながらリシアに従うことにした。


