あの日からもう十年以上が経った。
俺は今でも両親、聖、そしてルナと仲良くやっている。
さすがに両親はそろそろ歳だけど。
俺はルナと同じような境遇の人を一人でも救いたいと思い、カウンセリングの仕事を始めた。
始めたばかりの頃は色んな人間が彼女とリンクして辛くなったけれど、今ではやりがいを感じている。
でも、勘違いしないでほしい。
俺は死ぬことが間違っているとは思わない。
どうしても辛いのなら死ぬこともやむを得ないと思う。でも、それでも俺は今日死ぬ勇気よりも明日を生きる勇気を出してほしいと願っている。
その上で死にたいと心の底から思ったのなら、それは仕方がないと思う。
でも、まだ未来に希望を少しでも持っているのなら、俺は生きてほしい。
この世界に価値のない人間なんていないし、幸せになる権利がない人間なんて居ないのだから。
これは綺麗事じゃない。それを証明するように、俺は今でもルナを愛し続けている。
今日も、家に帰ったら彼女が夕飯を作って待ってくれている。
もちろん、休日はしっかり家事をやっているし、部屋の片付けも定期的に行っている。決して亭主関白などではない。
「いやぁ、最近は電子書籍化が進んできたな」
俺は今、聖と居酒屋に来ている。
聖は今でも七三カットが特徴的なままだ。
「そうだな。近くの本屋も軒並みなくなっちゃうし」
「いやほんとになー。街まで行かないと本屋無いんだから。大変な世の中だ」
「それはそうと、今度はルナちゃんも連れて三人で飲みに行きたいな。昔みたいに感想会しようぜ」
こいつはいくつになっても本当に変わらないななんて思いながら「そうだな」と返事をした。
「じゃあルナが待ってるからそろそろ帰るわ、また誘ってくれ。俺からも誘うから」
「うい!またな!」
そう言って俺は帰路についた。
今年の春も変わらず桜吹雪が宙に舞っている。
今ではもう桜には綺麗だなと言う感想しか浮かばなくなってしまったが、それでもこの季節になるとあの日のことをまるで昨日のことのように思い出す。
「約束、ちゃんと守ってるだろ?」
誰に言うわけでもなくそう呟くと、まるで頷くように木々が揺れ動き、再び桜吹雪が舞った。
少しいい気分で家の門を開き、玄関の扉を開ける。
「ただいま」
リビングにいるであろう彼女に届くくらいの声量で言うと、ダッダッダッと駆けてくる足音が聞こえる。
そして、リビングに続く扉が開いた。
後ろで綺麗にまとめられた長い髪の毛に、綺麗な笑顔が特徴的な彼女は俺を見るなりこう言った。
「おかえり!」
と。
俺は今でも両親、聖、そしてルナと仲良くやっている。
さすがに両親はそろそろ歳だけど。
俺はルナと同じような境遇の人を一人でも救いたいと思い、カウンセリングの仕事を始めた。
始めたばかりの頃は色んな人間が彼女とリンクして辛くなったけれど、今ではやりがいを感じている。
でも、勘違いしないでほしい。
俺は死ぬことが間違っているとは思わない。
どうしても辛いのなら死ぬこともやむを得ないと思う。でも、それでも俺は今日死ぬ勇気よりも明日を生きる勇気を出してほしいと願っている。
その上で死にたいと心の底から思ったのなら、それは仕方がないと思う。
でも、まだ未来に希望を少しでも持っているのなら、俺は生きてほしい。
この世界に価値のない人間なんていないし、幸せになる権利がない人間なんて居ないのだから。
これは綺麗事じゃない。それを証明するように、俺は今でもルナを愛し続けている。
今日も、家に帰ったら彼女が夕飯を作って待ってくれている。
もちろん、休日はしっかり家事をやっているし、部屋の片付けも定期的に行っている。決して亭主関白などではない。
「いやぁ、最近は電子書籍化が進んできたな」
俺は今、聖と居酒屋に来ている。
聖は今でも七三カットが特徴的なままだ。
「そうだな。近くの本屋も軒並みなくなっちゃうし」
「いやほんとになー。街まで行かないと本屋無いんだから。大変な世の中だ」
「それはそうと、今度はルナちゃんも連れて三人で飲みに行きたいな。昔みたいに感想会しようぜ」
こいつはいくつになっても本当に変わらないななんて思いながら「そうだな」と返事をした。
「じゃあルナが待ってるからそろそろ帰るわ、また誘ってくれ。俺からも誘うから」
「うい!またな!」
そう言って俺は帰路についた。
今年の春も変わらず桜吹雪が宙に舞っている。
今ではもう桜には綺麗だなと言う感想しか浮かばなくなってしまったが、それでもこの季節になるとあの日のことをまるで昨日のことのように思い出す。
「約束、ちゃんと守ってるだろ?」
誰に言うわけでもなくそう呟くと、まるで頷くように木々が揺れ動き、再び桜吹雪が舞った。
少しいい気分で家の門を開き、玄関の扉を開ける。
「ただいま」
リビングにいるであろう彼女に届くくらいの声量で言うと、ダッダッダッと駆けてくる足音が聞こえる。
そして、リビングに続く扉が開いた。
後ろで綺麗にまとめられた長い髪の毛に、綺麗な笑顔が特徴的な彼女は俺を見るなりこう言った。
「おかえり!」
と。
