転校生が来る、と健ちゃんに言われ、嫌な予感がした。高校二年生の二学期なんて中途半端な時期に来る転校生なんて多くないだろう。
クラス内に満ちるソワソワと落ち着かない空気は期待の現れだけど、僕の気持ちは反対に沈んでいく。
入って、と健ちゃんの声でドアが開く。ふわっと浮いていた空気が一気に曇るのを感じ、僕自身は「やっぱり」とため息が漏れた。予感的中。昨日、廊下で会ったやつだ。
寝起きのまま来ました、と言わんばかりのぼさっとした頭。クラスメイトが浮かべる印象は「地味」「ダサい」「暗そう」だろう。
「他人と話すの嫌いなんで。できるだけ話しかけないでください」
さらに「性格悪そう」が追加されたかと思えば、髪を耳にかけたもんだからピアスがびっしり並ぶのが目に入る。クラスの総意は「できるだけ関わりたくない」になった。
「あー、じゃあ、神崎の席は……」
どうしようかな、と困った顔の健ちゃんと目が合う。いや、合わせにいったに近い。どんなにムカつくヤツでも、いや、ムカつくヤツだからこそ、健ちゃんにこれ以上迷惑をかけてもらっては困る。
「小鳥遊の隣で。小鳥遊は学級委員だから。いろいろ頼むな」
はい、と素直に手を挙げ、席を教えてやる。制服はうちのブレザーを着ているが、分厚い前髪は昨日と変わらず、表情はよく見えない。可愛い女子やイケメン男子を求めていたクラスメイトたちは早々に顔を背けている。
ガタン、と椅子を引く音が聞こえ、神崎が僕とは反対、窓へと顔を向ける。いくら話すのが嫌いだからって隣に挨拶くらいしろよ。
「よろしく。なんか困ったことあったら遠慮なく言って」
僕の声に神崎が振り返ることはない。完全に無視。鬱陶しそうな空気を全身で放たれる。僕だって放っておいていいならそうしたい。でも、健ちゃんに頼まれたし、まとまりつつあるクラスの空気を壊されたくない。迷惑だけはかけんなよ、と念を送った。
クラス内に満ちるソワソワと落ち着かない空気は期待の現れだけど、僕の気持ちは反対に沈んでいく。
入って、と健ちゃんの声でドアが開く。ふわっと浮いていた空気が一気に曇るのを感じ、僕自身は「やっぱり」とため息が漏れた。予感的中。昨日、廊下で会ったやつだ。
寝起きのまま来ました、と言わんばかりのぼさっとした頭。クラスメイトが浮かべる印象は「地味」「ダサい」「暗そう」だろう。
「他人と話すの嫌いなんで。できるだけ話しかけないでください」
さらに「性格悪そう」が追加されたかと思えば、髪を耳にかけたもんだからピアスがびっしり並ぶのが目に入る。クラスの総意は「できるだけ関わりたくない」になった。
「あー、じゃあ、神崎の席は……」
どうしようかな、と困った顔の健ちゃんと目が合う。いや、合わせにいったに近い。どんなにムカつくヤツでも、いや、ムカつくヤツだからこそ、健ちゃんにこれ以上迷惑をかけてもらっては困る。
「小鳥遊の隣で。小鳥遊は学級委員だから。いろいろ頼むな」
はい、と素直に手を挙げ、席を教えてやる。制服はうちのブレザーを着ているが、分厚い前髪は昨日と変わらず、表情はよく見えない。可愛い女子やイケメン男子を求めていたクラスメイトたちは早々に顔を背けている。
ガタン、と椅子を引く音が聞こえ、神崎が僕とは反対、窓へと顔を向ける。いくら話すのが嫌いだからって隣に挨拶くらいしろよ。
「よろしく。なんか困ったことあったら遠慮なく言って」
僕の声に神崎が振り返ることはない。完全に無視。鬱陶しそうな空気を全身で放たれる。僕だって放っておいていいならそうしたい。でも、健ちゃんに頼まれたし、まとまりつつあるクラスの空気を壊されたくない。迷惑だけはかけんなよ、と念を送った。



