今日も退屈な授業が全て終わった。
朝からイケメンに巻き込まれたせいで、女子にアイツをいじめてないかとか連絡先は? とか。
無駄に質問攻めに合う羽目になるし……最悪な一日だった。
「るるちゃん、お疲れー」
「お疲れーじゃねぇよ」
「自業自得だろ。勝手に人の名前を使うからだ。あのイケメン、山地っていう名前だけでこの教室を当てたらしいぞ。一学年のクラス数は多いのにな。まあ、有名人だしなー俺様」
「何が俺様だよ、キモ。アイツ、名前教えろってうるさかったんだよ。その時思いついたのがお前の名前だったんだから仕方ないだろうが」
山地は目立つんだから、誰かに聞いたらバレちまうよな。ホント、失敗した。
今更言ったところで仕方ないし、あの付きまとい方はしつこそうだしな。
「今日はさっさと帰るわ」
「おー。じゃあな」
スクバを背負ってさっさと歩き出す。
アイツ……放課後にとか言ってたってことは、待ち伏せするぞって宣言か?
昇降口で周囲を見渡してみたが、何人かの男女が喋ってるくらいでヤツの気配はない。
「ビビらせんなよな……」
何事もなく学校の外に出られたし拍子抜けだ。
鼻を鳴らして何歩か進むと、いきなりグイっと手を引っ張られた。
「おいっ!」
「……しーっ!」
力づくで電柱の裏に引き込まれて口を押さえられる。
すると、何人かの女子たちが走ってくる。
「藤川君は?」
「いなくなっちゃったー! ええー」
「カラオケ誘いたかったぁー」
うわ、女子に追いかけまわされてんのかよ。どうやら俺たちには気づかずに行ったみたいだ。
俺は口に当てられた手を両手を使ってやっと引きはがした。
マジでコイツ馬鹿力なんだよな。
「お前、ホントいい加減にしろよ?」
「ご、ごめんっ……なさい」
そんなに大げさに落ち込まれても困るんだが、イケメンなりに困ることはあるみたいだな。
しかし、本気で俺を待ち伏せしてたのかコイツ。
「お前、もう少し自分の顔を自覚しろ。目立ちたくないなら顔隠せ」
「そんなこと言われても……」
「また次が来る前にさっさと行くぞ」
俺が言い放つと、今度は嬉しそうに目を輝かせた。
後ろを見ずに早足で歩いても、ついてくるのが分かる。
仕方ない。家まで近道を使ってなるべく目立たないように歩くしかない。
「風見くん、本当にお宅にお邪魔していいんですか?」
「お前が言ったんだろ。ピアノを習いたいって。生徒が増えれば俺の家としては助かるからってだけだ。家の母親、教えるの上手いって近所の評判だって自分で言ってるし」
「風見くんのお母さまか……きっと美人なんだろうな」
「自分の家の家族と一緒にするなよ。なんでその発想になるのか意味不明だし」
狭い横道を進んでいると、また手を引っ張られる。
コイツ……いっぺん殴りたい。
「んだよ」
「風見くんは可愛いです。茶色の目は猫ちゃんみたいだし、赤茶の髪も……生まれつきですよね? 似合ってます」
俺が可愛いだって?
男に向かって可愛いとかいう輩は一番信用できない。
少し上にある位置の顔を見ながら、思い切りガンを飛ばしてやる。
「おっまえ、いい加減にしろよ? 誰が猫ちゃんだ。それと毎回無理やり振り向かせるのやめろ馬鹿力」
「あ、すみません。あの、どうぞ進んでください」
焦りながら手を離す姿にまで腹が立つ。なんでこんなヤツをわざわざ自宅へ案内しなくちゃいけないのか。
これも家の金の為だと言い聞かせながら、早足で歩き始めた。
朝からイケメンに巻き込まれたせいで、女子にアイツをいじめてないかとか連絡先は? とか。
無駄に質問攻めに合う羽目になるし……最悪な一日だった。
「るるちゃん、お疲れー」
「お疲れーじゃねぇよ」
「自業自得だろ。勝手に人の名前を使うからだ。あのイケメン、山地っていう名前だけでこの教室を当てたらしいぞ。一学年のクラス数は多いのにな。まあ、有名人だしなー俺様」
「何が俺様だよ、キモ。アイツ、名前教えろってうるさかったんだよ。その時思いついたのがお前の名前だったんだから仕方ないだろうが」
山地は目立つんだから、誰かに聞いたらバレちまうよな。ホント、失敗した。
今更言ったところで仕方ないし、あの付きまとい方はしつこそうだしな。
「今日はさっさと帰るわ」
「おー。じゃあな」
スクバを背負ってさっさと歩き出す。
アイツ……放課後にとか言ってたってことは、待ち伏せするぞって宣言か?
昇降口で周囲を見渡してみたが、何人かの男女が喋ってるくらいでヤツの気配はない。
「ビビらせんなよな……」
何事もなく学校の外に出られたし拍子抜けだ。
鼻を鳴らして何歩か進むと、いきなりグイっと手を引っ張られた。
「おいっ!」
「……しーっ!」
力づくで電柱の裏に引き込まれて口を押さえられる。
すると、何人かの女子たちが走ってくる。
「藤川君は?」
「いなくなっちゃったー! ええー」
「カラオケ誘いたかったぁー」
うわ、女子に追いかけまわされてんのかよ。どうやら俺たちには気づかずに行ったみたいだ。
俺は口に当てられた手を両手を使ってやっと引きはがした。
マジでコイツ馬鹿力なんだよな。
「お前、ホントいい加減にしろよ?」
「ご、ごめんっ……なさい」
そんなに大げさに落ち込まれても困るんだが、イケメンなりに困ることはあるみたいだな。
しかし、本気で俺を待ち伏せしてたのかコイツ。
「お前、もう少し自分の顔を自覚しろ。目立ちたくないなら顔隠せ」
「そんなこと言われても……」
「また次が来る前にさっさと行くぞ」
俺が言い放つと、今度は嬉しそうに目を輝かせた。
後ろを見ずに早足で歩いても、ついてくるのが分かる。
仕方ない。家まで近道を使ってなるべく目立たないように歩くしかない。
「風見くん、本当にお宅にお邪魔していいんですか?」
「お前が言ったんだろ。ピアノを習いたいって。生徒が増えれば俺の家としては助かるからってだけだ。家の母親、教えるの上手いって近所の評判だって自分で言ってるし」
「風見くんのお母さまか……きっと美人なんだろうな」
「自分の家の家族と一緒にするなよ。なんでその発想になるのか意味不明だし」
狭い横道を進んでいると、また手を引っ張られる。
コイツ……いっぺん殴りたい。
「んだよ」
「風見くんは可愛いです。茶色の目は猫ちゃんみたいだし、赤茶の髪も……生まれつきですよね? 似合ってます」
俺が可愛いだって?
男に向かって可愛いとかいう輩は一番信用できない。
少し上にある位置の顔を見ながら、思い切りガンを飛ばしてやる。
「おっまえ、いい加減にしろよ? 誰が猫ちゃんだ。それと毎回無理やり振り向かせるのやめろ馬鹿力」
「あ、すみません。あの、どうぞ進んでください」
焦りながら手を離す姿にまで腹が立つ。なんでこんなヤツをわざわざ自宅へ案内しなくちゃいけないのか。
これも家の金の為だと言い聞かせながら、早足で歩き始めた。

