やっぱりよく眠れなかった。確実にあのイケメンのせいだ。
あくびを噛み殺しながら廊下を歩いていると、妙な人だかりができていた。
しかも大半が女子だ。
教室へ近づけば近づくほど人は増えていく。
「うわ、だる……」
人をかき分けて何とか教室の中へ入ったが、教室の中まで人だらけだった。
しかもあの席は……山地の席?
「……で、あなたとあの人はどんな関係なんですか?」
「はあ? いや、どんなも何も……だからさっきから言ってるだろ、ただのダチだって」
俺は強烈に嫌な予感がした。山地の声と……昨日聞いたばかりのハキハキとした声が聞こえてくる。
こうなったらサボってやろうかと教室を出ようとしたのに、人と人の隙間から目ざとく見つけられたらしい。
「おい、るるちゃん! おっまえ、逃げようとするんじゃねえ!」
「大声出すなよ。こっちは寝不足だってのに……」
「るる……? それが彼の名前ですか?」
あぁ……本気で面倒臭い。どうしてくれようか?
山地の名前だけで俺の学年と教室を当てたのか。確かに山地は目立つからな……もっと適当な名前を名乗っておくべきだった。
「るる、じゃねえ。いい加減やめろその呼び方」
「今日はいつもより更に不機嫌じゃね? ってか、このイケメンお前のだろうが。何とかしてくれ! さっきから質問責めにあって困ってるんだよ」
山地の言葉に周りの女子の視線が一斉に俺へ集まってくる。
あー……最悪。イケメンは全く気にもしないでニッコニコしやがって。
「……クソっ。おい、お前! こんなとこまで来るんじゃねぇよ。ちょっと来い!」
「え、あ……はいっ!」
「えぇ、行っちゃうの藤川くーん」
女子たちがざわざわしているせいで、余計にイライラしてきた。
俺が睨みつけると女子たちはようやく道をあける。
イケメンは俺の気分も何もかも無視して、俺の後に嬉しそうについてきた。
「はあ……よく分かんねぇけど、がんばれよー」
「るせえ!」
まだ授業は始まらない時間だし、俺はサボっても構わないがイケメンはよく分からないしな。
こういう面倒ごとはさっさと済ませた方がいい。
俺はズンズンと歩いて、なるべく人気のない場所へ移動する。
しかし、コイツは顔がいいせいで歩くだけで目立つ。
一緒にいる俺はいい迷惑だ。
「……無駄に笑顔振りまくのやめろ」
「え、笑顔? いや、別に普通だけど……」
「じゃあ、顔隠せ!」
「ええー?」
俺が悪態をついても、イケメンは全くめげないしむしろ嬉しそうに笑いやがる。
ホントになんなんだ? コイツ。
俺の鳥肌は、今日もイケメンがキモイと反応している。
俺は一気に階段を上りきり、屋上へ続く扉を押し開いた。
「……ここでいいか。で、一体お前は何な訳?」
「だから、ずっと君を探してた……って、馴れ馴れしいですよね。すみません」
イケメンは今更敬語に直して謝ってくる。俺はイライラが増してくるが、必死に抑える。
「今更馴れ馴れしいとかどうでもいい。ってか、なんでわざわざ教室まで付け回すんだよ」
「だから、オレの運命の音色で……」
「あー……いい! そのくだりどうでもいい! いいか、もう二度とつきまとうなって言ってんだよ」
俺が言い放つとイケメンは一瞬寂しそうな表情をするが、首をブンブンと振る。
そして、決意を秘めた真っすぐな瞳で俺を射抜いてくる。
あくびを噛み殺しながら廊下を歩いていると、妙な人だかりができていた。
しかも大半が女子だ。
教室へ近づけば近づくほど人は増えていく。
「うわ、だる……」
人をかき分けて何とか教室の中へ入ったが、教室の中まで人だらけだった。
しかもあの席は……山地の席?
「……で、あなたとあの人はどんな関係なんですか?」
「はあ? いや、どんなも何も……だからさっきから言ってるだろ、ただのダチだって」
俺は強烈に嫌な予感がした。山地の声と……昨日聞いたばかりのハキハキとした声が聞こえてくる。
こうなったらサボってやろうかと教室を出ようとしたのに、人と人の隙間から目ざとく見つけられたらしい。
「おい、るるちゃん! おっまえ、逃げようとするんじゃねえ!」
「大声出すなよ。こっちは寝不足だってのに……」
「るる……? それが彼の名前ですか?」
あぁ……本気で面倒臭い。どうしてくれようか?
山地の名前だけで俺の学年と教室を当てたのか。確かに山地は目立つからな……もっと適当な名前を名乗っておくべきだった。
「るる、じゃねえ。いい加減やめろその呼び方」
「今日はいつもより更に不機嫌じゃね? ってか、このイケメンお前のだろうが。何とかしてくれ! さっきから質問責めにあって困ってるんだよ」
山地の言葉に周りの女子の視線が一斉に俺へ集まってくる。
あー……最悪。イケメンは全く気にもしないでニッコニコしやがって。
「……クソっ。おい、お前! こんなとこまで来るんじゃねぇよ。ちょっと来い!」
「え、あ……はいっ!」
「えぇ、行っちゃうの藤川くーん」
女子たちがざわざわしているせいで、余計にイライラしてきた。
俺が睨みつけると女子たちはようやく道をあける。
イケメンは俺の気分も何もかも無視して、俺の後に嬉しそうについてきた。
「はあ……よく分かんねぇけど、がんばれよー」
「るせえ!」
まだ授業は始まらない時間だし、俺はサボっても構わないがイケメンはよく分からないしな。
こういう面倒ごとはさっさと済ませた方がいい。
俺はズンズンと歩いて、なるべく人気のない場所へ移動する。
しかし、コイツは顔がいいせいで歩くだけで目立つ。
一緒にいる俺はいい迷惑だ。
「……無駄に笑顔振りまくのやめろ」
「え、笑顔? いや、別に普通だけど……」
「じゃあ、顔隠せ!」
「ええー?」
俺が悪態をついても、イケメンは全くめげないしむしろ嬉しそうに笑いやがる。
ホントになんなんだ? コイツ。
俺の鳥肌は、今日もイケメンがキモイと反応している。
俺は一気に階段を上りきり、屋上へ続く扉を押し開いた。
「……ここでいいか。で、一体お前は何な訳?」
「だから、ずっと君を探してた……って、馴れ馴れしいですよね。すみません」
イケメンは今更敬語に直して謝ってくる。俺はイライラが増してくるが、必死に抑える。
「今更馴れ馴れしいとかどうでもいい。ってか、なんでわざわざ教室まで付け回すんだよ」
「だから、オレの運命の音色で……」
「あー……いい! そのくだりどうでもいい! いいか、もう二度とつきまとうなって言ってんだよ」
俺が言い放つとイケメンは一瞬寂しそうな表情をするが、首をブンブンと振る。
そして、決意を秘めた真っすぐな瞳で俺を射抜いてくる。

