大きな目標としてやらねばならぬことは多いが、日々の生活の中でやらなきゃいけないことも多い。
特進クラス、あるいは課外活動部はこれからも優秀な覚醒者を輩出するためにもしっかりと活動を続けていく必要がある。
特に課外活動部は日本の覚醒者にとって重要な役割を果たす。
トモナリは課外活動部の部長であるので、課外活動部の活動を受け継いでいくことも大事なのだ。
「うん……今年も優秀な生徒が多いな」
課外活動部の部室でトモナリはタブレットの画面をスクロールする。
今見ているのは新一年生の覚醒者情報が記載されたものである。
トモナリは三年生になった。
ということはカエデたちは卒業していなくなり、ハルカたち一年生は二年生になったということである。
課外活動部は表立って部員を募集していない。
スカウトで部員を確保しているわけであって、課外活動部としてもいい一年生を確保したいところだ。
「ぬぬぬ……」
トモナリの肩にもたれかかってヒカリもタブレットを見ている。
主に特進クラスを中心に見ている。
特進クラスに選ばれる時点で、多くの生徒の中から選抜されているわけだ。
その中からさらに数人選ぶというのも簡単ではない。
「むっ! この子はどうなのだ?」
選ぶ要素も少ない。
元々覚醒者として活動していたならともかく、一年生だと選ぶための要素は職業とステータス、ファーストスキルぐらいしかない。
こうなると自然と選ばれるのは希少職業の人になってくる。
ヒカリの慧眼が光る。
「刀王か」
ヒカリが一人の生徒に目をつけた。
まずトモナリはその職業を見た。
王職。
刀の王となっている。
ステータスも高い。
速度と力が高くて、前衛職にしては魔力もそれなりにある。
「女の子か……漆間櫻子(ウルマサクラコ)。…………ウルマ?」
写真を見て、顔を確認すると女の子だった。
左目の下に二つ泣きぼくろがあるクールな雰囲気の美人なのである。
最後に名前を確認して、トモナリは驚いたように目を見開いた。
「年下……だったのか」
「んん? なんの話なのだ?」
「いや、探していた人を見つけたんだ」
トモナリの驚いた顔を見て、ヒカリがピタリと頬をくっつけてきた。
ちょっとスリスリとすることも気にせずトモナリは答える。
「見つけた……神切の持ち主」
神を切るとまで言われた覚醒者。
刀王ウルマはトモナリも知っているような存在だった。
ただ細かく知っているかといえば、そんなに細かくは知らない。
なぜなら当時のウルマはアメリカに所属する覚醒者だった。
日本人なことは知っていたが、アメリカのギルドが引き抜いたのだ。
最終的には国も関係なく協力はしていたが、やはりその国の覚醒者同士で固まることも多かった。
最前線の戦力でもあったのでトモナリがウルマに関わることはなかったのである。
だが一つ知っていることがある。
それはウルマが最終的な神切の持ち主となったということだ。
妖刀とまで言われた神切を完全に支配下に置いて、多くのモンスターを切り裂いていた。
神切を渡すためにウルマを探していたのだけど、自分よりも年下だなんてことすらも知らなかった。
「見つからないわけだ」
本気で探していたわけではないが、少し見つからないことに疑問は感じていた。
王職の覚醒者ならば有名とまでいかなくても、どこかで名前が出てくるほどに注目されていてもおかしくない。
なのに全く手掛かりもなかった。
だがようやくその理由も分かった。
「まだ覚醒もしてなかったら見つかるはずがないよな」
探そうにもこれまでウルマは一般人だった。
やや特殊な名字であるが、覚醒者のウルマを探していて一般人で高校生にもなっていない相手が候補として上がるはずもない。
「ぜひとも日本に残ってもらいたいものだな」
何があってアメリカに引き抜かれてしまったのかは知らないが、王職持ちが他国に引き抜かれてしまうのは相当な痛手だ。
今のトモナリはウルマがどんな覚醒者になるのかも知っている。
余計に引き抜かれたくないと思うわけである。
「ともかく第一候補だな」
職業としても、ステータスとしてもウルマは他の子より頭一つ抜きん出ている。
神切のことを抜きにしてもスカウトしたい人であった。
「この人はどうだろ?」
「ヌー……あんまり好きくないのだ」
その後もヒカリと一緒に誰がいいのかをチェックした。
三年生は就活などで忙しく、新一年生と一緒に活動する時間はそう長くない。
けれどもできるだけいい人、強い人を引き込みたいと真剣に考えた。
ヒカリは能力というよりも写真の人相で人を選んでいる感じがあった。
だがヒカリの本能的なものは意外と馬鹿にできない。
顔を見てこの人がいい、この人は嫌だというのには何かがあるのだろうとトモナリも思っている。
「他にも時期部長とか考えなきゃいけないしな」
他の部員と違って二年生への引き継ぎなんてこともトモナリは考えねばならない。
部長に選ばれるということは光栄なことであるけれど、意外と大変だなと思わずため息を漏らしてしまうのだった。
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特進クラス、あるいは課外活動部はこれからも優秀な覚醒者を輩出するためにもしっかりと活動を続けていく必要がある。
特に課外活動部は日本の覚醒者にとって重要な役割を果たす。
トモナリは課外活動部の部長であるので、課外活動部の活動を受け継いでいくことも大事なのだ。
「うん……今年も優秀な生徒が多いな」
課外活動部の部室でトモナリはタブレットの画面をスクロールする。
今見ているのは新一年生の覚醒者情報が記載されたものである。
トモナリは三年生になった。
ということはカエデたちは卒業していなくなり、ハルカたち一年生は二年生になったということである。
課外活動部は表立って部員を募集していない。
スカウトで部員を確保しているわけであって、課外活動部としてもいい一年生を確保したいところだ。
「ぬぬぬ……」
トモナリの肩にもたれかかってヒカリもタブレットを見ている。
主に特進クラスを中心に見ている。
特進クラスに選ばれる時点で、多くの生徒の中から選抜されているわけだ。
その中からさらに数人選ぶというのも簡単ではない。
「むっ! この子はどうなのだ?」
選ぶ要素も少ない。
元々覚醒者として活動していたならともかく、一年生だと選ぶための要素は職業とステータス、ファーストスキルぐらいしかない。
こうなると自然と選ばれるのは希少職業の人になってくる。
ヒカリの慧眼が光る。
「刀王か」
ヒカリが一人の生徒に目をつけた。
まずトモナリはその職業を見た。
王職。
刀の王となっている。
ステータスも高い。
速度と力が高くて、前衛職にしては魔力もそれなりにある。
「女の子か……漆間櫻子(ウルマサクラコ)。…………ウルマ?」
写真を見て、顔を確認すると女の子だった。
左目の下に二つ泣きぼくろがあるクールな雰囲気の美人なのである。
最後に名前を確認して、トモナリは驚いたように目を見開いた。
「年下……だったのか」
「んん? なんの話なのだ?」
「いや、探していた人を見つけたんだ」
トモナリの驚いた顔を見て、ヒカリがピタリと頬をくっつけてきた。
ちょっとスリスリとすることも気にせずトモナリは答える。
「見つけた……神切の持ち主」
神を切るとまで言われた覚醒者。
刀王ウルマはトモナリも知っているような存在だった。
ただ細かく知っているかといえば、そんなに細かくは知らない。
なぜなら当時のウルマはアメリカに所属する覚醒者だった。
日本人なことは知っていたが、アメリカのギルドが引き抜いたのだ。
最終的には国も関係なく協力はしていたが、やはりその国の覚醒者同士で固まることも多かった。
最前線の戦力でもあったのでトモナリがウルマに関わることはなかったのである。
だが一つ知っていることがある。
それはウルマが最終的な神切の持ち主となったということだ。
妖刀とまで言われた神切を完全に支配下に置いて、多くのモンスターを切り裂いていた。
神切を渡すためにウルマを探していたのだけど、自分よりも年下だなんてことすらも知らなかった。
「見つからないわけだ」
本気で探していたわけではないが、少し見つからないことに疑問は感じていた。
王職の覚醒者ならば有名とまでいかなくても、どこかで名前が出てくるほどに注目されていてもおかしくない。
なのに全く手掛かりもなかった。
だがようやくその理由も分かった。
「まだ覚醒もしてなかったら見つかるはずがないよな」
探そうにもこれまでウルマは一般人だった。
やや特殊な名字であるが、覚醒者のウルマを探していて一般人で高校生にもなっていない相手が候補として上がるはずもない。
「ぜひとも日本に残ってもらいたいものだな」
何があってアメリカに引き抜かれてしまったのかは知らないが、王職持ちが他国に引き抜かれてしまうのは相当な痛手だ。
今のトモナリはウルマがどんな覚醒者になるのかも知っている。
余計に引き抜かれたくないと思うわけである。
「ともかく第一候補だな」
職業としても、ステータスとしてもウルマは他の子より頭一つ抜きん出ている。
神切のことを抜きにしてもスカウトしたい人であった。
「この人はどうだろ?」
「ヌー……あんまり好きくないのだ」
その後もヒカリと一緒に誰がいいのかをチェックした。
三年生は就活などで忙しく、新一年生と一緒に活動する時間はそう長くない。
けれどもできるだけいい人、強い人を引き込みたいと真剣に考えた。
ヒカリは能力というよりも写真の人相で人を選んでいる感じがあった。
だがヒカリの本能的なものは意外と馬鹿にできない。
顔を見てこの人がいい、この人は嫌だというのには何かがあるのだろうとトモナリも思っている。
「他にも時期部長とか考えなきゃいけないしな」
他の部員と違って二年生への引き継ぎなんてこともトモナリは考えねばならない。
部長に選ばれるということは光栄なことであるけれど、意外と大変だなと思わずため息を漏らしてしまうのだった。
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