「下半身!」
「おっしゃ! 次は俺がいくぞ!」
上下に切られた胴体のうち、下の方から炎が噴き出した。
つまりコアは下半身の方にあるということになる。
再生しきる前にとユウトがさらに下半身を切り裂く。
「あっ!」
「コアだ!」
ユウトが切り裂いた下半身からポロリと赤い石のようなものが出てきた。
ファイヤーゴーレムのコアである。
「ずっと待ってるの熱かったんだからね!」
ファイヤーゴーレムのコアから炎が噴き出す。
再生する前にコアを攻撃して倒してしまわねばならない。
そんな時に影からマコトが飛び出してきた。
マコトは職業的に力が伸びにくく、ミズキやユウトのような破壊力がない。
だがその代わりに尖った能力のスキルと高い素早さを持っている。
正面から戦うタイプではなく、隙を狙って一撃で倒すようなタイプなのだ。
マコトはひっそりとチャンスを狙っていた。
影に潜んで、一撃加える時を待っていた。
マコトは炎を纏い始めたコアに向かってナイフを突き出す。
チリチリとした熱は感じるけれど、怯むことなくしっかりとコアをナイフで突く。
甲高い音が響いてコアが真っ二つに割れる。
「マコトナイス!」
「イェーイ」
カタカタと微妙に動いていたゴーレムの体も完全に動かなくなった。
ユウトが手を上げてマコトに駆け寄ると、マコトも手を上げてハイタッチして応える。
「これぐらいなら問題はなさそうだな」
「さすが先輩たち……つえっす!」
めっちゃ熱い。
ただそれだけを警戒して、我慢すれば難しい相手でもない。
サーシャが攻撃を引きつけて、ミズキとユウト、コウでゴーレムを破壊しつつコアの位置を探り、マコトがコアにトドメを刺すという連携を早くも見つけ出していた。
時々一年生も加えて、経験を積ませたりレベルアップも狙いながらゲートの中のファイヤーゴーレムを倒して回る。
「え、えーい!」
ハルカが魔法を放つ。
ファイヤーゴーレムの頭からこぼれ落ちたコアに氷の塊が当たって、コアが砕け散る。
「先輩、やりました!」
「ああ、よくやったな」
「良い感じなのだ!」
「へへ、ありがとうございます!」
ハルカが嬉しそうな顔をして振り返り、トモナリが褒めてやると満面の笑顔を浮かべる。
「俺も頑張ってますよ、先輩!」
「うっす!」
「……タンノもな」
「えっ、私はそんな……」
「褒めて欲しそうな顔してたのだぁ〜」
「うぅ……!」
なぜなのかみんなトモナリに褒めて欲しがる。
褒めるぐらい全然良いし、みんな実際によくやっているのでトモナリも素直に褒める。
「そろそろボスが出てもおかしくない。みんな警戒していこう」
コウもすっかりリーダーとしての立ち回りが板についている。
ヒカリはちょっと暇そうだけど、トモナリは改めてみんなの成長を感じていた。
「あれ怪しくない?」
こう何度も戦っていれば、ファイヤーゴーレムらしき岩もなんとなく判別できるようになってくる。
ミズキが少し先に見えるゴツゴツした岩を怪しんでいる。
「ちょっと大きい」
「うーん確かに。もしかしたらボスかな?」
ファイヤーゴーレムだとしたらこれまでの岩よりも一回りほど大きいように見えた。
ボスの可能性がある。
みんなに緊張感が走った。
「おっとっと……これは少し予想外だったね……」
警戒しながら岩に近づいてみると地面が揺れた。
岩が動き出して、人形のゴーレムが立ち上がる。
しかし立ち上がったゴーレムは一体だけじゃなかった。
動くだろうと見ていた大きめのゴーレムの他に、もう二体のゴーレムが同時に動き出したのである。
「いわゆる取り巻きってやつだな」
ボスにも種類がある。
孤高の存在というボスもいるのだけど、逆にゲートに出てくる他のモンスターを周りに従えているボスも少なくない。
広く取り巻きモンスターなどと呼ばれるものである。
大きいファイヤーゴーレムはボスだろう。
つまりボスファイヤーゴーレムは取り巻きモンスターを連れているのだ。
「……トモナリ君! 一体お願いできるかい?」
「もちろん」
「クドウさんと一年生でもう一体のゴーレムを引きつけてくれ! 倒さなくてもいい。無理のないように攻撃を回避してくれればいい!」
「分かった」
「やるっす!」
「先生方は一年生のフォローお願いします!」
コウは判断を下した。
二年生だけでは三体のゴーレムを相手にするのは難しい。
ここは総力を上げて戦わねばならない。
どうにか対処するためにはトモナリの力も必要だ。
トモナリならばファイヤーゴーレムを一人で相手にできるだろうというコウの信頼もあった。
ただ無理をさせるだけのつもりもなく、ここまで戦いを見守ってきたマサヨシを始めとする教員たちもいる。
生徒たちを戦いの中心としながらも万が一のための支援もちゃんと考えてある。
「やーるのだー!」
ようやく出番が来た。
ヒカリはやる気を見せている。
「みんな、無理すんなよ? いざとなったらサーシャの後ろに隠れればいいから」
「また無茶なこと言う」
「ははっ、サーシャなら守ってくれるだろ?」
「まあやるだけやってみる」
サーシャもタンクとしてかなり優秀だ。
もう一体のゴーレムもサーシャに任せたようなものである。
「おっしゃ! 次は俺がいくぞ!」
上下に切られた胴体のうち、下の方から炎が噴き出した。
つまりコアは下半身の方にあるということになる。
再生しきる前にとユウトがさらに下半身を切り裂く。
「あっ!」
「コアだ!」
ユウトが切り裂いた下半身からポロリと赤い石のようなものが出てきた。
ファイヤーゴーレムのコアである。
「ずっと待ってるの熱かったんだからね!」
ファイヤーゴーレムのコアから炎が噴き出す。
再生する前にコアを攻撃して倒してしまわねばならない。
そんな時に影からマコトが飛び出してきた。
マコトは職業的に力が伸びにくく、ミズキやユウトのような破壊力がない。
だがその代わりに尖った能力のスキルと高い素早さを持っている。
正面から戦うタイプではなく、隙を狙って一撃で倒すようなタイプなのだ。
マコトはひっそりとチャンスを狙っていた。
影に潜んで、一撃加える時を待っていた。
マコトは炎を纏い始めたコアに向かってナイフを突き出す。
チリチリとした熱は感じるけれど、怯むことなくしっかりとコアをナイフで突く。
甲高い音が響いてコアが真っ二つに割れる。
「マコトナイス!」
「イェーイ」
カタカタと微妙に動いていたゴーレムの体も完全に動かなくなった。
ユウトが手を上げてマコトに駆け寄ると、マコトも手を上げてハイタッチして応える。
「これぐらいなら問題はなさそうだな」
「さすが先輩たち……つえっす!」
めっちゃ熱い。
ただそれだけを警戒して、我慢すれば難しい相手でもない。
サーシャが攻撃を引きつけて、ミズキとユウト、コウでゴーレムを破壊しつつコアの位置を探り、マコトがコアにトドメを刺すという連携を早くも見つけ出していた。
時々一年生も加えて、経験を積ませたりレベルアップも狙いながらゲートの中のファイヤーゴーレムを倒して回る。
「え、えーい!」
ハルカが魔法を放つ。
ファイヤーゴーレムの頭からこぼれ落ちたコアに氷の塊が当たって、コアが砕け散る。
「先輩、やりました!」
「ああ、よくやったな」
「良い感じなのだ!」
「へへ、ありがとうございます!」
ハルカが嬉しそうな顔をして振り返り、トモナリが褒めてやると満面の笑顔を浮かべる。
「俺も頑張ってますよ、先輩!」
「うっす!」
「……タンノもな」
「えっ、私はそんな……」
「褒めて欲しそうな顔してたのだぁ〜」
「うぅ……!」
なぜなのかみんなトモナリに褒めて欲しがる。
褒めるぐらい全然良いし、みんな実際によくやっているのでトモナリも素直に褒める。
「そろそろボスが出てもおかしくない。みんな警戒していこう」
コウもすっかりリーダーとしての立ち回りが板についている。
ヒカリはちょっと暇そうだけど、トモナリは改めてみんなの成長を感じていた。
「あれ怪しくない?」
こう何度も戦っていれば、ファイヤーゴーレムらしき岩もなんとなく判別できるようになってくる。
ミズキが少し先に見えるゴツゴツした岩を怪しんでいる。
「ちょっと大きい」
「うーん確かに。もしかしたらボスかな?」
ファイヤーゴーレムだとしたらこれまでの岩よりも一回りほど大きいように見えた。
ボスの可能性がある。
みんなに緊張感が走った。
「おっとっと……これは少し予想外だったね……」
警戒しながら岩に近づいてみると地面が揺れた。
岩が動き出して、人形のゴーレムが立ち上がる。
しかし立ち上がったゴーレムは一体だけじゃなかった。
動くだろうと見ていた大きめのゴーレムの他に、もう二体のゴーレムが同時に動き出したのである。
「いわゆる取り巻きってやつだな」
ボスにも種類がある。
孤高の存在というボスもいるのだけど、逆にゲートに出てくる他のモンスターを周りに従えているボスも少なくない。
広く取り巻きモンスターなどと呼ばれるものである。
大きいファイヤーゴーレムはボスだろう。
つまりボスファイヤーゴーレムは取り巻きモンスターを連れているのだ。
「……トモナリ君! 一体お願いできるかい?」
「もちろん」
「クドウさんと一年生でもう一体のゴーレムを引きつけてくれ! 倒さなくてもいい。無理のないように攻撃を回避してくれればいい!」
「分かった」
「やるっす!」
「先生方は一年生のフォローお願いします!」
コウは判断を下した。
二年生だけでは三体のゴーレムを相手にするのは難しい。
ここは総力を上げて戦わねばならない。
どうにか対処するためにはトモナリの力も必要だ。
トモナリならばファイヤーゴーレムを一人で相手にできるだろうというコウの信頼もあった。
ただ無理をさせるだけのつもりもなく、ここまで戦いを見守ってきたマサヨシを始めとする教員たちもいる。
生徒たちを戦いの中心としながらも万が一のための支援もちゃんと考えてある。
「やーるのだー!」
ようやく出番が来た。
ヒカリはやる気を見せている。
「みんな、無理すんなよ? いざとなったらサーシャの後ろに隠れればいいから」
「また無茶なこと言う」
「ははっ、サーシャなら守ってくれるだろ?」
「まあやるだけやってみる」
サーシャもタンクとしてかなり優秀だ。
もう一体のゴーレムもサーシャに任せたようなものである。

