「ん!」
サーシャが盾を構えて前に出る。
ファイヤーゴーレムはゆっくりと拳を持ち上げ、サーシャに振り下ろす。
「あっつい……」
低く構えたサーシャはファイヤーゴーレムの拳を受け切った。
ひとまず攻撃を受けること自体は問題がない。
しかしファイヤーゴーレムの体は強い熱を帯びていた。
盾で防げるのは攻撃だけであり、熱は防げない。
肌が焼けるような熱を感じてサーシャは顔をしかめる。
「どりゃあー!」
ミズキがサーシャの後ろから飛び出して刀を振るう。
サーシャが盾で防いだファイヤーゴーレムの腕を一瞬で輪切りにしていく。
鋭い一撃はファイヤーゴーレムの硬い腕を簡単に切断する。
「うわっと!?」
切られた腕は一瞬バラバラと分離するような動きを見せた。
しかしファイヤーゴーレムの体から炎が噴き出してきた。
切られた腕を繋いで、バラバラになった腕はそのまま空中に留まる。
「ファイヤーっていうのはダテじゃなかったみたいだな!」
ファイヤーゴーレムという割に、見た目に炎要素がないと思っていた。
一応ちゃんと炎っぽさもあったのだ。
「くらえ、二連撃!」
ファイヤーゴーレムが炎噴き出す腕を振り回す。
ユウトはスキル二連撃を使って、ファイヤーゴーレムの拳を切りつける。
一撃目が拳の威力を殺し、魔力によって生み出された二撃目が拳を打ち砕いた。
「うぬ! みんななかなかやるのだな!」
ゴーレムは比較的極端なモンスターである。
岩や金属などの無機物からできていて、体は構成する物質の特色そのままに硬い。
硬い体から繰り出される攻撃の威力は高くて油断ができない。
その反面ゴーレムの知能は低い。
ほとんどないと言ってもいいほどに知能は低くて、戦略的な行動はおろか攻撃も非常に単純なものなのだ。
極端にいえばある程度の攻撃力が必要であり、攻撃力があればそんなに難しい相手でもない。
レベルで見る相手というよりも、ゴーレムを突破できる力やゴーレムの攻撃を回避できる速度のステータスが重要になる。
ミズキもユウトもファイヤーゴーレムを上回る能力を持っていた。
「さあ、どうする?」
ただいくら腕を破壊しようともゴーレムは倒せない。
もう一つゴーレムの特殊性として、普通の生物とは違う明確な弱点があることが挙げられる。
普通のモンスターなら頭や心臓といった生物的な弱点はあるが、それはどの生物にも大体共通する弱点だ。
だがゴーレムは頭を潰されようと普通に動く。
岩なんかからできているゴーレムには心臓もない。
ただし心臓に匹敵するようなものがある。
それが核、あるいはコアと呼ばれるものになる。
いってしまえば心臓のもので、ゴーレムはコアを破壊されると倒される。
裏を返せばコアを破壊しないと倒せないのがゴーレムなのである。
「コアは右腕以外にある! 少しずつ破壊して確かめるぞ!」
コウが指示を出す。
「うん、いい指示だな」
「あの指示はどういう意味なんですか?」
頷いているトモナリにナナが質問する。
「ゴーレムの体にコアがあることは知ってるな?」
「はい、それは分かっています」
ゴーレムにコアがあることは多くの人が知っている。
コアを破壊すればいいというところまで知っている人は多くとも、どうコアを見つければいいのかまで知っている人は案外多くない。
「コアがある限りゴーレムは動き続けるし、再生してしまう。そんな中でコアを探して破壊しなきゃいけないけど、ちゃんと方法もあるんだ」
「どうするんですか?」
「再生から逆にコアの位置を予想するんだ」
再生する相手からコアの位置を探し出すのは難しい。
けれども再生するという特性から逆にコアを探し出す方法が、今は一般的なものとなっている。
「どういうことですか?」
「ゴーレムの中心はコアだ。つまり再生はコアから始まる。さっきの攻撃を例に考えてみよう。腕を切られた時に、胴体から炎が出てきただろ?」
「そうですね」
「つまり再生は胴体の方から始まったということだ。そうなるとコアは少なくとも切られた腕の方にはないってことさ」
「なるほど」
トモナリの説明を受けてナナは理解した顔をする。
「そうやって少しずつ相手を破壊してコアの位置を探っていくんだ」
結構面倒な作業である。
破壊して再生を確かめていくなんて時間もかかるし、体力も削られる。
もっと力に差があるならゴーレムを一気に破壊するなんて手段もあるが、そちらの方が消耗は激しい。
「足ナーシ!」
「頭も無しだ!」
攻撃しやすい手足や頭から破壊してコアの位置を確かめていく。
どれも再生は胴体から始まっている。
やはり全体の体積として体が占める部分は大きい。
手足などの末端よりも体にコアがあることの方が確率として高い。
今回のファイヤーゴーレムも手足頭にコアはなかった。
なので胴体にコアがある。
「シミズさん!」
「オッケー!」
コウがファイヤーゴーレムの足を破壊して、その隙にミズキが胴体を真っ二つに切り裂く。
攻撃力が高い覚醒者がいると破壊してコアの位置を確かめていくのも楽でいい。
サーシャが盾を構えて前に出る。
ファイヤーゴーレムはゆっくりと拳を持ち上げ、サーシャに振り下ろす。
「あっつい……」
低く構えたサーシャはファイヤーゴーレムの拳を受け切った。
ひとまず攻撃を受けること自体は問題がない。
しかしファイヤーゴーレムの体は強い熱を帯びていた。
盾で防げるのは攻撃だけであり、熱は防げない。
肌が焼けるような熱を感じてサーシャは顔をしかめる。
「どりゃあー!」
ミズキがサーシャの後ろから飛び出して刀を振るう。
サーシャが盾で防いだファイヤーゴーレムの腕を一瞬で輪切りにしていく。
鋭い一撃はファイヤーゴーレムの硬い腕を簡単に切断する。
「うわっと!?」
切られた腕は一瞬バラバラと分離するような動きを見せた。
しかしファイヤーゴーレムの体から炎が噴き出してきた。
切られた腕を繋いで、バラバラになった腕はそのまま空中に留まる。
「ファイヤーっていうのはダテじゃなかったみたいだな!」
ファイヤーゴーレムという割に、見た目に炎要素がないと思っていた。
一応ちゃんと炎っぽさもあったのだ。
「くらえ、二連撃!」
ファイヤーゴーレムが炎噴き出す腕を振り回す。
ユウトはスキル二連撃を使って、ファイヤーゴーレムの拳を切りつける。
一撃目が拳の威力を殺し、魔力によって生み出された二撃目が拳を打ち砕いた。
「うぬ! みんななかなかやるのだな!」
ゴーレムは比較的極端なモンスターである。
岩や金属などの無機物からできていて、体は構成する物質の特色そのままに硬い。
硬い体から繰り出される攻撃の威力は高くて油断ができない。
その反面ゴーレムの知能は低い。
ほとんどないと言ってもいいほどに知能は低くて、戦略的な行動はおろか攻撃も非常に単純なものなのだ。
極端にいえばある程度の攻撃力が必要であり、攻撃力があればそんなに難しい相手でもない。
レベルで見る相手というよりも、ゴーレムを突破できる力やゴーレムの攻撃を回避できる速度のステータスが重要になる。
ミズキもユウトもファイヤーゴーレムを上回る能力を持っていた。
「さあ、どうする?」
ただいくら腕を破壊しようともゴーレムは倒せない。
もう一つゴーレムの特殊性として、普通の生物とは違う明確な弱点があることが挙げられる。
普通のモンスターなら頭や心臓といった生物的な弱点はあるが、それはどの生物にも大体共通する弱点だ。
だがゴーレムは頭を潰されようと普通に動く。
岩なんかからできているゴーレムには心臓もない。
ただし心臓に匹敵するようなものがある。
それが核、あるいはコアと呼ばれるものになる。
いってしまえば心臓のもので、ゴーレムはコアを破壊されると倒される。
裏を返せばコアを破壊しないと倒せないのがゴーレムなのである。
「コアは右腕以外にある! 少しずつ破壊して確かめるぞ!」
コウが指示を出す。
「うん、いい指示だな」
「あの指示はどういう意味なんですか?」
頷いているトモナリにナナが質問する。
「ゴーレムの体にコアがあることは知ってるな?」
「はい、それは分かっています」
ゴーレムにコアがあることは多くの人が知っている。
コアを破壊すればいいというところまで知っている人は多くとも、どうコアを見つければいいのかまで知っている人は案外多くない。
「コアがある限りゴーレムは動き続けるし、再生してしまう。そんな中でコアを探して破壊しなきゃいけないけど、ちゃんと方法もあるんだ」
「どうするんですか?」
「再生から逆にコアの位置を予想するんだ」
再生する相手からコアの位置を探し出すのは難しい。
けれども再生するという特性から逆にコアを探し出す方法が、今は一般的なものとなっている。
「どういうことですか?」
「ゴーレムの中心はコアだ。つまり再生はコアから始まる。さっきの攻撃を例に考えてみよう。腕を切られた時に、胴体から炎が出てきただろ?」
「そうですね」
「つまり再生は胴体の方から始まったということだ。そうなるとコアは少なくとも切られた腕の方にはないってことさ」
「なるほど」
トモナリの説明を受けてナナは理解した顔をする。
「そうやって少しずつ相手を破壊してコアの位置を探っていくんだ」
結構面倒な作業である。
破壊して再生を確かめていくなんて時間もかかるし、体力も削られる。
もっと力に差があるならゴーレムを一気に破壊するなんて手段もあるが、そちらの方が消耗は激しい。
「足ナーシ!」
「頭も無しだ!」
攻撃しやすい手足や頭から破壊してコアの位置を確かめていく。
どれも再生は胴体から始まっている。
やはり全体の体積として体が占める部分は大きい。
手足などの末端よりも体にコアがあることの方が確率として高い。
今回のファイヤーゴーレムも手足頭にコアはなかった。
なので胴体にコアがある。
「シミズさん!」
「オッケー!」
コウがファイヤーゴーレムの足を破壊して、その隙にミズキが胴体を真っ二つに切り裂く。
攻撃力が高い覚醒者がいると破壊してコアの位置を確かめていくのも楽でいい。

