「ちょい暑いな……」
「まあしょうがないよね〜」
ゲートを調査して、次の日に早速攻略に挑む。
中の様子はもう分かっていたが、実際に入って活動し始めるとまた少し違った感じがある。
やや気温が高めなことも分かっていたし、出てくるモンスターがファイヤーゴーレムな時点で熱いんだろうなという予想も立つ。
明確に溶岩のようなものはないが、地面が黒くて周りに植物もない。
元々溶岩地帯のようなものだろうとトモナリは周りのことを見ていた。
案外、地面を攻撃して掘ってみれば溶岩のようなものが出てくるかもしれない。
そんな環境だから動いていると少し熱いのだ。
「まあ俺たちに任せとけよ!」
「そうだね。トモナリ君とヒカリ君は見学でもしててよ」
「ヌヌ……ならば任せるのだ!」
交流戦でも頑張ったし、ドゥウェルとも戦ったトモナリもみんなと一緒にいる。
治療そのものはヒーラーがやってくれていたので、特に一人で入院していることもなかったのだ。
だから攻略も一緒にやるつもりだったのだけど、みんなとしてはあまりトモナリに動いてもらうつもりはなかった。
病み上がりのトモナリには休んでいてもらって、自分たちでゲートを攻略するつもりなのである。
「それじゃあ……任せるよ」
トモナリとしても無茶をするつもりはない。
ドゥウェルとの戦いでは死ぬほどの無理をして心配もかけたので、周りの気遣いを素直に受け取っておこうと思った。
トモナリの危機に何もできなかった歯痒さをみんなが感じていたことは、トモナリもわかっている。
あの場にいたとて何ができたわけではないが、トモナリとヒカリが命をかけて戦うことになってヒヤヒヤとしていた。
だからなのか、ちょっとだけみんなトモナリに甘くなった。
ヒカリに甘いのは元々だけど、トモナリも少しチヤホヤされているのだ。
少ししたらまた元には戻るだろう。
それまでの間、みんながそうしたいならそうさせておこうと考えていた。
今回もトモナリの分までみんなが頑張るというので、トモナリも大人しくしておくことにする。
「一年! トモナリが戦わないように見張ってろよ!」
「分かったす!」
「任せてください!」
ゲートの難易度はEクラスである。
レベルに直すと20から40程度の覚醒者が挑むゲートだ。
単純にレベルで考えた時に二年生レベルのゲートということになる。
一年生だとちょっと厳しいかもしれない。
ということで、今回は二年生がメインで戦い、一年生はサポート、状況を見て戦いに参加という形だ。
トモナリとヒカリが戦わないように監視する、なんてことも一年生の役割なのだ。
「別に監視するまでもいらないだろ……」
「先輩、何するか分かんないっすもんね」
「そうですよ! アイゼン先輩、戦っちゃダメですよ!」
ミヤマエとハルカがわざとらしい険しい目をしてトモナリのことを見る。
助けでも求められない限りは手を出すつもりはないが、何もしないというトモナリにあまり信頼はなかった。
むしろ信頼されているのか何なのかちょっと分からないトモナリだった。
「うーん、あれなんか動かなかった?」
なかなかモンスターが出てこないなと思いながらゲートの中を探索していた。
ミズキは視界の端で岩が動いたように見えて立ち止まった。
「ちょっと魔法を放ってみようか」
トモナリがいればトモナリがリーダーとして中心的な役割を果たすことが多い。
ではトモナリがいないと誰がリーダーか。
その時の状況によって異なることもあるが、トモナリがいない場合に全体のまとめ役になることが多いのはコウだ。
冷静で頭が良く、周りをよく見ている。
魔法使いタイプのために、戦いでも一歩引いているので全体を見通していることも理由の一つだ。
時にはユウトやミズキが全体を引っ張っていくこともあるものの、今もトモナリが黙って見ているとコウが意見を出した。
ミズキの感じる違和感を無視しないで、確かめようとするのはトモナリも賛成だ。
「みんな、行くよ!」
コウが杖を持ち上げて魔法を備える。
相手はファイヤーゴーレムだ。
ファイヤー、つまり炎属性なことは名前から予想ができる。
そのためにコウはいつも使う炎ではなく、水を魔法によって生み出した。
生み出された水の塊は、空中でクルクルと回転して綺麗な球体となる。
「はっ!」
コウは杖を前に突き出して、水の玉を放つ。
水の玉が回転しながらミズキが動いたと主張する岩に向かって飛んでいく。
飛んでいった水の玉は岩に当たって爆発を起こす。
炎のような高火力は期待できないが、水の爆発も意外とバカにはできない。
「……おっ?」
爆発で岩が少し崩れた。
反応はなく、ただの見間違いだったのかと思った瞬間岩が動き始めた。
「ほらー!」
「ファイヤーゴーレムだ!」
岩が起き上がった。
黒い岩が集まって人のような形を成す。
ミズキが見たものは見間違いでも何でもなくしっかりとファイヤーゴーレムなのであった。
「クドウさん、前に! 相手は炎を使ってくるかもしれないから気をつけて!」
コウが指示を出してそれぞれ戦闘態勢に入る。
アカデミーでも精鋭となるみんなは能力が高いだけじゃなくて、こうした時の動きも早い。
「まあしょうがないよね〜」
ゲートを調査して、次の日に早速攻略に挑む。
中の様子はもう分かっていたが、実際に入って活動し始めるとまた少し違った感じがある。
やや気温が高めなことも分かっていたし、出てくるモンスターがファイヤーゴーレムな時点で熱いんだろうなという予想も立つ。
明確に溶岩のようなものはないが、地面が黒くて周りに植物もない。
元々溶岩地帯のようなものだろうとトモナリは周りのことを見ていた。
案外、地面を攻撃して掘ってみれば溶岩のようなものが出てくるかもしれない。
そんな環境だから動いていると少し熱いのだ。
「まあ俺たちに任せとけよ!」
「そうだね。トモナリ君とヒカリ君は見学でもしててよ」
「ヌヌ……ならば任せるのだ!」
交流戦でも頑張ったし、ドゥウェルとも戦ったトモナリもみんなと一緒にいる。
治療そのものはヒーラーがやってくれていたので、特に一人で入院していることもなかったのだ。
だから攻略も一緒にやるつもりだったのだけど、みんなとしてはあまりトモナリに動いてもらうつもりはなかった。
病み上がりのトモナリには休んでいてもらって、自分たちでゲートを攻略するつもりなのである。
「それじゃあ……任せるよ」
トモナリとしても無茶をするつもりはない。
ドゥウェルとの戦いでは死ぬほどの無理をして心配もかけたので、周りの気遣いを素直に受け取っておこうと思った。
トモナリの危機に何もできなかった歯痒さをみんなが感じていたことは、トモナリもわかっている。
あの場にいたとて何ができたわけではないが、トモナリとヒカリが命をかけて戦うことになってヒヤヒヤとしていた。
だからなのか、ちょっとだけみんなトモナリに甘くなった。
ヒカリに甘いのは元々だけど、トモナリも少しチヤホヤされているのだ。
少ししたらまた元には戻るだろう。
それまでの間、みんながそうしたいならそうさせておこうと考えていた。
今回もトモナリの分までみんなが頑張るというので、トモナリも大人しくしておくことにする。
「一年! トモナリが戦わないように見張ってろよ!」
「分かったす!」
「任せてください!」
ゲートの難易度はEクラスである。
レベルに直すと20から40程度の覚醒者が挑むゲートだ。
単純にレベルで考えた時に二年生レベルのゲートということになる。
一年生だとちょっと厳しいかもしれない。
ということで、今回は二年生がメインで戦い、一年生はサポート、状況を見て戦いに参加という形だ。
トモナリとヒカリが戦わないように監視する、なんてことも一年生の役割なのだ。
「別に監視するまでもいらないだろ……」
「先輩、何するか分かんないっすもんね」
「そうですよ! アイゼン先輩、戦っちゃダメですよ!」
ミヤマエとハルカがわざとらしい険しい目をしてトモナリのことを見る。
助けでも求められない限りは手を出すつもりはないが、何もしないというトモナリにあまり信頼はなかった。
むしろ信頼されているのか何なのかちょっと分からないトモナリだった。
「うーん、あれなんか動かなかった?」
なかなかモンスターが出てこないなと思いながらゲートの中を探索していた。
ミズキは視界の端で岩が動いたように見えて立ち止まった。
「ちょっと魔法を放ってみようか」
トモナリがいればトモナリがリーダーとして中心的な役割を果たすことが多い。
ではトモナリがいないと誰がリーダーか。
その時の状況によって異なることもあるが、トモナリがいない場合に全体のまとめ役になることが多いのはコウだ。
冷静で頭が良く、周りをよく見ている。
魔法使いタイプのために、戦いでも一歩引いているので全体を見通していることも理由の一つだ。
時にはユウトやミズキが全体を引っ張っていくこともあるものの、今もトモナリが黙って見ているとコウが意見を出した。
ミズキの感じる違和感を無視しないで、確かめようとするのはトモナリも賛成だ。
「みんな、行くよ!」
コウが杖を持ち上げて魔法を備える。
相手はファイヤーゴーレムだ。
ファイヤー、つまり炎属性なことは名前から予想ができる。
そのためにコウはいつも使う炎ではなく、水を魔法によって生み出した。
生み出された水の塊は、空中でクルクルと回転して綺麗な球体となる。
「はっ!」
コウは杖を前に突き出して、水の玉を放つ。
水の玉が回転しながらミズキが動いたと主張する岩に向かって飛んでいく。
飛んでいった水の玉は岩に当たって爆発を起こす。
炎のような高火力は期待できないが、水の爆発も意外とバカにはできない。
「……おっ?」
爆発で岩が少し崩れた。
反応はなく、ただの見間違いだったのかと思った瞬間岩が動き始めた。
「ほらー!」
「ファイヤーゴーレムだ!」
岩が起き上がった。
黒い岩が集まって人のような形を成す。
ミズキが見たものは見間違いでも何でもなくしっかりとファイヤーゴーレムなのであった。
「クドウさん、前に! 相手は炎を使ってくるかもしれないから気をつけて!」
コウが指示を出してそれぞれ戦闘態勢に入る。
アカデミーでも精鋭となるみんなは能力が高いだけじゃなくて、こうした時の動きも早い。

