「トモヤリをはなせー!」
「‘なんだ!?’」
ヒカリが強い光を放った。
輝きを増しながらドゥウェルに向かって飛んでいく。
ドゥウェルはトモナリを持ち上げたまま、左腕をガードするように上げる。
光の塊となったヒカリは形を変えながらドゥウェルに襲いかかった。
「‘ぬっ!?’」
「‘ええっ!? あ、あれが……アイゼン君の……?’」
「トモナリを放すのだー!」
腕に光の塊が噛みついた。
硬いドゥウェルの皮膚も突き破り、血が滲んだ。
想像もしていなかった痛みにドゥウェルも顔をしかめる。
光が収まっていき、ヒカリの姿が見えてくる。
その様子にみんなが驚く。
「ぬあーなのだ!」
「‘ヒカリが大きくなってる……’」
ヒカリの姿が一変していた。
小さくて、マスコットのような姿だったヒカリはドゥウェルと同じぐらいの大きさのドラゴンになっていた。
まだドラゴンとしては小さいものの、これまでのヒカリのサイズを考えると何倍も大きい。
ただドラゴンのような荘厳さよりもミニドラ姿のヒカリがそのまま大きくなったような感じもある。
だがヒカリの決死の噛みつきは、ドゥウェルの腕に食い込んでいる。
鷲掴みにされて投げ捨てられた時よりも、パワーがアップしていることは確実だ。
「‘ぐぅ……この……’」
「させるかよ!」
ヒカリの牙が腕に食い込んでいく。
顔を歪ませたドゥウェルはヒカリを引き剥がそうとトモナリを放した。
しかし今度はトモナリの方がドゥウェルの腕にしがみつく。
「ヒカリ! そのままやってしまえ!」
「ぬーーーーーー!」
しがみつく状態ならば体を保護する必要もない。
トモナリは怪力のみを発動させて、ドゥウェルの腕を押さえつける。
ドゥウェルはトモナリを振り回すようにしてヒカリを殴りつけるが、上手く力が入らない。
ヒカリも多少殴られたぐらいでは噛みつきを止めるつもりはなく、よりアゴに力を込めていく。
「ぬがぁー!」
「‘ぐあああああっ!’」
「‘……腕を…………!’」
死んでも放さない。
それぐらいの思いで噛みついたヒカリは、そのままドゥウェルの腕を噛みちぎってしまった。
ドゥウェルの腕から血が吹き出し、肘から先の手が地面に落ちる。
「‘腕が……俺の腕がああああっ!’」
「トモナリは僕が守るのだ! 吹き飛べ! ビーッ!」
無い手を振り上げるドゥウェルに対して、ヒカリは大きく口を開いた。
ヒカリの口の前に魔力が集まり、ブレスが放たれた。
ビームのように圧縮されたブレスはドゥウェルの胸に当たって、そのまま吹き飛んでいく。
「‘なんと……’」
流石のジェームズも体を起こして驚いている。
「ヒカリ……その姿……」
驚いているのはトモナリも同じだ。
「ふーん! トモナリ、大丈夫なのだ?」
「……ああ、一発食らっただけだよ」
ブレスを放ち終えたヒカリは、心配そうな顔をしてトモナリのところに駆け寄る。
姿の変化に驚きはしたものの、目を見ればヒカリはヒカリだと分かる。
「何が起きたんだ……?」
「分からないのだ。でも……トモナリのことを助けたいと思ったのだ。そしたらこうなったのだ!」
ヒカリはドヤ顔で胸を張る。
見た目にもだいぶ強そうにはなった。
こんなに急に成長するとは思っていなかったが、回帰前の姿を思えばまだまだ小さいぐらいである。
「僕もこれで……」
「おっ?」
ポフンッ。
そんな情けない音がして、ヒカリの姿が小さくなっていく。
「な、なんでなのだぁー!」
ヒカリは小さくなった自分の手を見て叫ぶ。
せっかく大きくなって力を得たのに、元の大きさに逆戻りとなってしまった。
「時間制限があるのか? 大きくなったのも完全じゃないようだな」
どうやらしっかり大きくなったわけではないようだ。
「それよりも……」
ヒカリの変化はともかく後で考えることにして、トモナリはぶっ飛んでいって壁に激突したドゥウェルに目を向ける。
「‘ぶっ殺してやる……’」
「あいつヤバいな」
ドゥウェルはシャツを破いて腕を縛って止血しようとしていた。
残った右手と歯を使って左腕をキツく縛り上げる姿は狂気すら感じる。
目は怒りで血走り、漏れ出す魔力で周りが少し歪んで見える。
片腕でもドゥウェルの攻撃力は変わらない。
むしろここまで使ってこなかったスキルを使われたら、例え万全の状態であってもドゥウェルの攻撃を受けきれないだろうとトモナリは思う。
「あれで倒しきれないなら……無理だよな……」
「トモナリィ……ヘロヘロするのだぁ……」
もう一度ヒカリが大きくなれば、なんて思わなくもないが、ヒカリの方もエネルギー切れのようである。
トモナリの肩にタオルのように乗っかって、今にもずり落ちてしまいそう。
「せめて少しでも……」
トモナリはインベントリから魔石を取り出して握りしめる。
魔石から魔力を吸収して少しでも回復を図ろうとしている。
「‘このクソガキが!’」
回避を、と思ったのだけどスキルを使ったドゥウェルはトモナリの想定を超えていた。
気づいた時にはもうドゥウェルは拳を振り上げた状態で、トモナリの限界の体は動こうとしてくれなかった。
「‘なんだ!?’」
ヒカリが強い光を放った。
輝きを増しながらドゥウェルに向かって飛んでいく。
ドゥウェルはトモナリを持ち上げたまま、左腕をガードするように上げる。
光の塊となったヒカリは形を変えながらドゥウェルに襲いかかった。
「‘ぬっ!?’」
「‘ええっ!? あ、あれが……アイゼン君の……?’」
「トモナリを放すのだー!」
腕に光の塊が噛みついた。
硬いドゥウェルの皮膚も突き破り、血が滲んだ。
想像もしていなかった痛みにドゥウェルも顔をしかめる。
光が収まっていき、ヒカリの姿が見えてくる。
その様子にみんなが驚く。
「ぬあーなのだ!」
「‘ヒカリが大きくなってる……’」
ヒカリの姿が一変していた。
小さくて、マスコットのような姿だったヒカリはドゥウェルと同じぐらいの大きさのドラゴンになっていた。
まだドラゴンとしては小さいものの、これまでのヒカリのサイズを考えると何倍も大きい。
ただドラゴンのような荘厳さよりもミニドラ姿のヒカリがそのまま大きくなったような感じもある。
だがヒカリの決死の噛みつきは、ドゥウェルの腕に食い込んでいる。
鷲掴みにされて投げ捨てられた時よりも、パワーがアップしていることは確実だ。
「‘ぐぅ……この……’」
「させるかよ!」
ヒカリの牙が腕に食い込んでいく。
顔を歪ませたドゥウェルはヒカリを引き剥がそうとトモナリを放した。
しかし今度はトモナリの方がドゥウェルの腕にしがみつく。
「ヒカリ! そのままやってしまえ!」
「ぬーーーーーー!」
しがみつく状態ならば体を保護する必要もない。
トモナリは怪力のみを発動させて、ドゥウェルの腕を押さえつける。
ドゥウェルはトモナリを振り回すようにしてヒカリを殴りつけるが、上手く力が入らない。
ヒカリも多少殴られたぐらいでは噛みつきを止めるつもりはなく、よりアゴに力を込めていく。
「ぬがぁー!」
「‘ぐあああああっ!’」
「‘……腕を…………!’」
死んでも放さない。
それぐらいの思いで噛みついたヒカリは、そのままドゥウェルの腕を噛みちぎってしまった。
ドゥウェルの腕から血が吹き出し、肘から先の手が地面に落ちる。
「‘腕が……俺の腕がああああっ!’」
「トモナリは僕が守るのだ! 吹き飛べ! ビーッ!」
無い手を振り上げるドゥウェルに対して、ヒカリは大きく口を開いた。
ヒカリの口の前に魔力が集まり、ブレスが放たれた。
ビームのように圧縮されたブレスはドゥウェルの胸に当たって、そのまま吹き飛んでいく。
「‘なんと……’」
流石のジェームズも体を起こして驚いている。
「ヒカリ……その姿……」
驚いているのはトモナリも同じだ。
「ふーん! トモナリ、大丈夫なのだ?」
「……ああ、一発食らっただけだよ」
ブレスを放ち終えたヒカリは、心配そうな顔をしてトモナリのところに駆け寄る。
姿の変化に驚きはしたものの、目を見ればヒカリはヒカリだと分かる。
「何が起きたんだ……?」
「分からないのだ。でも……トモナリのことを助けたいと思ったのだ。そしたらこうなったのだ!」
ヒカリはドヤ顔で胸を張る。
見た目にもだいぶ強そうにはなった。
こんなに急に成長するとは思っていなかったが、回帰前の姿を思えばまだまだ小さいぐらいである。
「僕もこれで……」
「おっ?」
ポフンッ。
そんな情けない音がして、ヒカリの姿が小さくなっていく。
「な、なんでなのだぁー!」
ヒカリは小さくなった自分の手を見て叫ぶ。
せっかく大きくなって力を得たのに、元の大きさに逆戻りとなってしまった。
「時間制限があるのか? 大きくなったのも完全じゃないようだな」
どうやらしっかり大きくなったわけではないようだ。
「それよりも……」
ヒカリの変化はともかく後で考えることにして、トモナリはぶっ飛んでいって壁に激突したドゥウェルに目を向ける。
「‘ぶっ殺してやる……’」
「あいつヤバいな」
ドゥウェルはシャツを破いて腕を縛って止血しようとしていた。
残った右手と歯を使って左腕をキツく縛り上げる姿は狂気すら感じる。
目は怒りで血走り、漏れ出す魔力で周りが少し歪んで見える。
片腕でもドゥウェルの攻撃力は変わらない。
むしろここまで使ってこなかったスキルを使われたら、例え万全の状態であってもドゥウェルの攻撃を受けきれないだろうとトモナリは思う。
「あれで倒しきれないなら……無理だよな……」
「トモナリィ……ヘロヘロするのだぁ……」
もう一度ヒカリが大きくなれば、なんて思わなくもないが、ヒカリの方もエネルギー切れのようである。
トモナリの肩にタオルのように乗っかって、今にもずり落ちてしまいそう。
「せめて少しでも……」
トモナリはインベントリから魔石を取り出して握りしめる。
魔石から魔力を吸収して少しでも回復を図ろうとしている。
「‘このクソガキが!’」
回避を、と思ったのだけどスキルを使ったドゥウェルはトモナリの想定を超えていた。
気づいた時にはもうドゥウェルは拳を振り上げた状態で、トモナリの限界の体は動こうとしてくれなかった。

