懲役三万年。
それがジェームズ・ウェインに課せられた罰である。
平凡な大学教授の一人だったジェームズの人生は、覚醒者になることによって大きく変わった。
本来戦いなど好まない性格だったジェームズは、片田舎にあるそこそこの大学で化学を教えるしがない教授だった。
ある日大学構内にゲートが発生して、ジェームズは生徒を守ろうとモンスターと戦う。
大きな怪我を負うものの、駆けつけた覚醒者によってジェームズは助け出され覚醒をする。
ジェームズが得た職業は爆破師(ボマー)。
魔力を圧縮して爆発させることに特化した特殊な魔法系列職業である。
大学はモンスターの出現によって破壊され、閉鎖されることになって職を失ったジェームズは覚醒者としての道に進むことになった。
魔力を爆発させるために魔力を多く消耗するので、レベルが低いうちはなかなか活躍ができなかった。
慣れないモンスターとの戦い、お金はなかなか稼げずに家族からのプレッシャーもある。
そんな時にジェームズの奥底にあったものが爆発したのである。
最初の被害者はジェームズの妻だった。
元より大学教授の給料が安いとぼやいていた妻は、覚醒者としてもうだつの上がらないジェームズに文句をぶつけていた。
ある時に妻と言い争いになったジェームズは妻のことを爆発させて殺してしまう。
妻を殺した現場を息子に見られ、息子も殺すことになる。
ジェームズは近くにあったゲートの場所を調べて死体を処理した。
周りには妻は息子を連れて出て行ったのだと説明して、二人がいなくなったことを誤魔化した。
人を殺したせいなのか、ジェームズはモンスターと戦うことにも抵抗がなくなった。
自分でも何でそんな変化が起きたのかわからない。
ただ血を見ても何も思わなくなった。
むしろ、ジェームズは人を爆発させた時の感覚が忘れられなかったのである。
レベルを上げ、より多くの魔力と強いスキルを手に入れたジェームズは、覚醒者の中でも引く手数多の存在となる。
だが心中に渦巻く黒い欲望は消えずに残っていた。
その後、ジェームズは秘密裏に人を殺し始め、最後には大型の商業施設で罪もない一般人を次々と爆発させて虐殺した。
ジェームズを確保に来た覚醒者も多くの被害を受けたものの、ジェームズは捕まることとなる。
被害者は多く、ジェームズに課せられた懲役は最終的におよそ三万年という途方もないものとなったのだった。
「‘爆発は美しいと思わないかい?’」
観客席で次々と爆発が起こる。
ジェームズは恍惚とした表情を浮かべて、爆発音と悲鳴をに聞き入っている。
「‘何が目的だ!’」
トモナリとエリオットは一度視線を交わして、ジェームズに武器を向けた。
「‘無駄なことをはしない方がいいですよ。あなたたちでは僕に敵いません’」
ジェームズがスッと手を動かすとまた爆発が起こる。
「‘あー……あー、聞こえてるな’」
「‘あれは……’」
実況席に髭面の大柄の男がいた。
MCの男の姿はなく、髭面の男は血に濡れたマイクを右手に、そして左手では誰かの頭を鷲掴みにしている。
「‘アレクサンダー……’」
頭を持たれているのは、交流戦初日に挨拶したドイツの覚醒者協会の協会長であるアレクサンダーだった。
「‘はっはっはっ! 俺たちが用意した贈り物は楽しんでもらっているようだな!’」
アレクサンダーは頭を掴まれたままぐったりとして動かない。
「‘騒ぎになっているようだが……逃げたり抵抗したりしないように。もし逃げようとすれば……’」
髭面の男に合わせてジェームズが指を鳴らす。
すると観客席の出入り口が次々と爆発していく。
「‘席に戻れ。大人しく座っていろ’」
会場が恐怖に包まれる。
いつどこで爆発するか分からない。
髭面の男の凄みのある声に騒がしかった会場は静かになってしまう。
出入り口は爆破されて逃げられない。
観客たちは大人しく席に戻るしかなかった。
「‘俺たちの要求を伝えておこう。俺たちはポルマへの脱出を望んでいる’」
「ポルマって……」
「なんなのだ?」
「ポルマは危険な無法地帯だよ」
国の形を保っているところも多いが、どうしても国を保てなかったところというものもある。
アフリカ南部のある国では高難度ゲートが現れて、処理に失敗した。
都心部に近いところに出現したゲートは、ブレイクを起こしてモンスターが外に出てきた。
その後の対処も失敗して、国全体が機能不全に陥った。
荒れた状況に目をつけた覚醒者が一部のゲートを攻略して都市を占領し、今では無政府状態の地域が出来上がっている。
それがポルマであった。
自分たちは国であると主張しているが、世界的には不法に占拠された不法な地域である。
国際指名手配されていようが国として認められてもいないポルマでは関係なく、多くの犯罪者が逃げ込む先となっていた。
ジェームズも髭面の男もトモナリは知らないが、こんなことをしでかして、ポルマに逃げようとしているのなら犯罪者なのだろうと思った。
お揃いの緑色のツナギもどこかで見たことがある。
それがジェームズ・ウェインに課せられた罰である。
平凡な大学教授の一人だったジェームズの人生は、覚醒者になることによって大きく変わった。
本来戦いなど好まない性格だったジェームズは、片田舎にあるそこそこの大学で化学を教えるしがない教授だった。
ある日大学構内にゲートが発生して、ジェームズは生徒を守ろうとモンスターと戦う。
大きな怪我を負うものの、駆けつけた覚醒者によってジェームズは助け出され覚醒をする。
ジェームズが得た職業は爆破師(ボマー)。
魔力を圧縮して爆発させることに特化した特殊な魔法系列職業である。
大学はモンスターの出現によって破壊され、閉鎖されることになって職を失ったジェームズは覚醒者としての道に進むことになった。
魔力を爆発させるために魔力を多く消耗するので、レベルが低いうちはなかなか活躍ができなかった。
慣れないモンスターとの戦い、お金はなかなか稼げずに家族からのプレッシャーもある。
そんな時にジェームズの奥底にあったものが爆発したのである。
最初の被害者はジェームズの妻だった。
元より大学教授の給料が安いとぼやいていた妻は、覚醒者としてもうだつの上がらないジェームズに文句をぶつけていた。
ある時に妻と言い争いになったジェームズは妻のことを爆発させて殺してしまう。
妻を殺した現場を息子に見られ、息子も殺すことになる。
ジェームズは近くにあったゲートの場所を調べて死体を処理した。
周りには妻は息子を連れて出て行ったのだと説明して、二人がいなくなったことを誤魔化した。
人を殺したせいなのか、ジェームズはモンスターと戦うことにも抵抗がなくなった。
自分でも何でそんな変化が起きたのかわからない。
ただ血を見ても何も思わなくなった。
むしろ、ジェームズは人を爆発させた時の感覚が忘れられなかったのである。
レベルを上げ、より多くの魔力と強いスキルを手に入れたジェームズは、覚醒者の中でも引く手数多の存在となる。
だが心中に渦巻く黒い欲望は消えずに残っていた。
その後、ジェームズは秘密裏に人を殺し始め、最後には大型の商業施設で罪もない一般人を次々と爆発させて虐殺した。
ジェームズを確保に来た覚醒者も多くの被害を受けたものの、ジェームズは捕まることとなる。
被害者は多く、ジェームズに課せられた懲役は最終的におよそ三万年という途方もないものとなったのだった。
「‘爆発は美しいと思わないかい?’」
観客席で次々と爆発が起こる。
ジェームズは恍惚とした表情を浮かべて、爆発音と悲鳴をに聞き入っている。
「‘何が目的だ!’」
トモナリとエリオットは一度視線を交わして、ジェームズに武器を向けた。
「‘無駄なことをはしない方がいいですよ。あなたたちでは僕に敵いません’」
ジェームズがスッと手を動かすとまた爆発が起こる。
「‘あー……あー、聞こえてるな’」
「‘あれは……’」
実況席に髭面の大柄の男がいた。
MCの男の姿はなく、髭面の男は血に濡れたマイクを右手に、そして左手では誰かの頭を鷲掴みにしている。
「‘アレクサンダー……’」
頭を持たれているのは、交流戦初日に挨拶したドイツの覚醒者協会の協会長であるアレクサンダーだった。
「‘はっはっはっ! 俺たちが用意した贈り物は楽しんでもらっているようだな!’」
アレクサンダーは頭を掴まれたままぐったりとして動かない。
「‘騒ぎになっているようだが……逃げたり抵抗したりしないように。もし逃げようとすれば……’」
髭面の男に合わせてジェームズが指を鳴らす。
すると観客席の出入り口が次々と爆発していく。
「‘席に戻れ。大人しく座っていろ’」
会場が恐怖に包まれる。
いつどこで爆発するか分からない。
髭面の男の凄みのある声に騒がしかった会場は静かになってしまう。
出入り口は爆破されて逃げられない。
観客たちは大人しく席に戻るしかなかった。
「‘俺たちの要求を伝えておこう。俺たちはポルマへの脱出を望んでいる’」
「ポルマって……」
「なんなのだ?」
「ポルマは危険な無法地帯だよ」
国の形を保っているところも多いが、どうしても国を保てなかったところというものもある。
アフリカ南部のある国では高難度ゲートが現れて、処理に失敗した。
都心部に近いところに出現したゲートは、ブレイクを起こしてモンスターが外に出てきた。
その後の対処も失敗して、国全体が機能不全に陥った。
荒れた状況に目をつけた覚醒者が一部のゲートを攻略して都市を占領し、今では無政府状態の地域が出来上がっている。
それがポルマであった。
自分たちは国であると主張しているが、世界的には不法に占拠された不法な地域である。
国際指名手配されていようが国として認められてもいないポルマでは関係なく、多くの犯罪者が逃げ込む先となっていた。
ジェームズも髭面の男もトモナリは知らないが、こんなことをしでかして、ポルマに逃げようとしているのなら犯罪者なのだろうと思った。
お揃いの緑色のツナギもどこかで見たことがある。

